巨人菅野智之投手(28)が今季4度目の完封で10勝目を挙げた。

 やっと勝った。菅野はゲームを締めた瞬間、白い歯を光らせた。7月6日広島戦以来、5戦ぶりの白星。何度も経験したお立ち台で「緊張しています」とこぼすほど喜びが込み上げた。

 マウンドの独占を使命とした。9点リードの7回1死。大差でも8月の月間打率4割超えのビシエドに注意を払った。低めの変化球で追い込むも、フルカウントからの151キロはショートバウンド。「本塁打の確率は低いけど(打たれたら)悔いが残る。1点でも取られたら意味がない」とリスクを避け、後続を断ち切った。138球を要すも「これだけ点をもらって最後まで投げないわけにはいかない」と2安打で完封した。

 白星は1人でつかんだものじゃない。坂本勇、吉川尚らが負傷離脱。主力を欠くが3年目の山本、新人の田中俊の二遊間コンビが仕事をこなした。「山本にもいいプレーがあったり、みんながチャンスだと思って必死にやっている」と若手にも乗せられた。チームが波に乗れない中「僕1人の力じゃどうにもできない。任されたところを投げきることが一番」と任務の遂行が次につながると信じた。

 自身5度目の2桁勝利となる10勝目には「1勝に大も小もない」と重きを置かなかった。「体の状態は良かった。それが心の支えだった。自分自身を疑うことはしなかった」。エースがまた1つ歩みを進めた。【桑原幹久】

 ▼菅野が今季4度目の完封で10勝目。菅野は昨年も4完封しており、2年連続4完封以上は94~96年斎藤雅(巨人)以来、22年ぶりになる。これで菅野はプロ6年間で5度目の2桁勝利。同じ13年入団の則本(楽天)がプロ入り5年連続で2桁勝利を記録しているが、巨人でプロ6年間で2桁勝利を5度以上は99年入団の上原以来となり、ドラフト制後はチーム5人目。