5年ぶりに交流戦最下位に終わった広島に、日刊スポーツ評論家の広瀬叔功氏(82)が緊急提言した。

5月の快進撃がうそのように、すでに6月は負け越しが決定。それでも、セ・リーグでは首位巨人に1ゲーム差の2位につける。優勝争いが本格化する後半戦を前に、28日からの再開リーグ戦12試合で、今季の形を見いだす必要性を説いた。【取材・構成=前原淳】

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5勝12敗1分けの最下位に終わった交流戦の結果が、今年の広島を表している。月間20勝した5月の反動か、チーム状態が下降した影響も多分にあっただろう。ただ、ベンチを含め、対戦が少ない相手への対応能力の低さは認めざるを得ない。リーグ3連覇中とはいえ、主力が抜けた今季は発展途上にある。本当に完成されたチームは切り替えがうまい。3連覇した昨季はそういった強さを身につけていたように感じたが、交流戦では切り替えられないままズルズルと試合を消化していった印象を受けた。

あれだけ負け越しても、セ・リーグでは首位巨人にわずか1ゲーム差の2位につける。互いに知り尽くしたセ・リーグ同士の対戦では、まだ広島にアドバンテージがあるように感じる。交流戦で不調離脱した選手たちが戦列に復帰できれば上積みも望める。決して悲観する必要はない。何より、3年続けてペナントレースを制した経験がある。

28日からリーグ戦に戻る。4カードですでに球宴期間に入るが、この12試合を無駄にしてはいけない。後半戦はもう、試行錯誤しながら戦う時期ではない。チームとしての形を明確に、結果にこだわって戦う時期だ。形を探りながら戦っていると、気づいたときには優勝争いから外れているかもしれない。まだ前半戦と悠長に構えていてはいけない。後半戦から優勝争いは始まる。球宴までの12試合で、チームの最終形を見つめたい。

南海時代、西鉄と毎年のように優勝争いをしてきた。シーズン終盤、チームの浮沈を左右するのは投打の柱。大瀬良であり、鈴木だ。彼らが相手の主力を抑え、主戦を打つことでチームは勢いづく。逆に打たれ、抑えられれば失速する。今や名実ともにチームの顔となった2人が4連覇のキーマン。プレーと背中でチームを引っ張って行ってもらいたい。