ソフトバンクが、救援陣の踏ん張りで優勝マジックを11に減らした。工藤公康監督(56)は先発武田を4回無死満塁であきらめ、継投策へ。2番手嘉弥真がこのピンチを1点でしのぐと、高橋純、甲斐野、モイネロ、森が無失点でつないだ。先にゲーム差なしで背中に迫る2位西武が勝っていた中で、落とせない1戦をブルペンの総力でもぎ取った。

  ◇    ◇    ◇

まだ4回。それでも工藤監督は動いた。無失点だった先発武田をあきらめ、1点リードの無死満塁で継投策に打って出た。左打者が続く並びに対し、コールされたのは左腕・嘉弥真だ。

まずは平沼に4球スライダーを続けて捕邪飛。続く宇佐見は、低めへの直球1球で遊飛に仕留めた。9番中島には粘られ、押し出し四球で同点にされたが、西川をフルカウントから見逃し三振。最後はスライダーを内角高めいっぱいに決めた。

初球、3球とボールになった内角球も伏線になった。春季キャンプでブルペンの打席に立った柳田が「グイグイ来る。怖さがある」と絶賛した内角攻めが、大量失点につながりかねない大ピンチを最少失点で食い止めた。味方が5回に勝ち越し、嘉弥真は今季初白星。「押し出したのは申し訳ないけど、なんとか1点に抑えられて良かった。チームが勝って良かった。みんなでつないだ勝利」と喜んだ。

3番手の高橋純は5回からの2イニングを完全投球。4番手の甲斐野も7回を3人で斬った。8回のモイネロも、2番大田からの好打順を3人で料理。9回は守護神の森がピンチを背負いながら、無失点で逃げ切った。

ブルペンの総力での1勝に、工藤監督も「つぎ込んででも、勝てるところは勝っていかないといけない。嘉弥真君が満塁の場面を1点でしのいでくれた。純平君、甲斐野君、モイネロも3人で抑えてくれた。さすがうちのリリーフ陣だなと思います」と胸を張った。

マジック点灯後の最初の試合をものにし、優勝へのカウントダウンを「11」とした。先に2位西武が勝って試合を終えていた中で、落とせない1戦だった。両者譲らない戦いは、まだまだ続く。指揮官は「大変だとは思いますが、残り11試合、みんなで頑張っていきたい」と力強く語った。【山本大地】

▽ソフトバンク武田(先発も4回途中で1失点降板)「コースを狙い過ぎず、もっと大胆に攻めてもよかった。大事な試合で先発としての仕事ができず、チームに申し訳ない」

▽ソフトバンク高橋純(3番手で2回を完全投球)「嘉弥真さんが(4回無死満塁を)1点で抑えてくれた。続いて抑えれば流れが来るな、と思っていました」

▽ソフトバンク甲斐野(4番手で2点リードの7回を3人斬り)「松田さんが追加点も取ってくれたし、流れが来ている状態での登板だったので、しっかり抑えたいと思っていました」

▽ソフトバンク・モイネロ(8回に登板し、打者3人で抑える)「先に投げたピッチャーも抑えてくれているので、自分もいい流れで投げられていると思う」