ソフトバンクが日本ハムに逆転負けし、西武がロッテにサヨナラ勝ちしたため、試合前は11だった優勝マジックが消滅した。

4-3の8回に甲斐野央投手(22)が痛恨の4失点を喫した。代わって首位浮上した西武に連覇へのマジック9が今季初点灯。ソフトバンクの逆転での最短優勝は22日となり、21日が最終戦の本拠地ヤフオクドームでの胴上げはなくなった。残り10試合、壮絶なV争いが続く。

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敗戦から43分後、札幌から次の試合地の旭川へ向かうバスの中でソフトバンクナインは、サヨナラ勝ちした西武にマジックが点灯したことを知った。奪い返した首位をわずか3日で明け渡した。工藤監督は「あそこまで、粘りはしっかり見せた」と3点を追う9回に1点を奪い、さらに2死満塁まで攻めた姿を前向きに捉えた。

3回までに4点をリードし、6回2死から早めにモイネロを投入する連日の執念継投に入った。そのころ西武はロッテにリードを許し、一気にマジックを11から9へ減らす状況だった。しかし、1点リードの8回に勝ちパターンの甲斐野がつかまった。中田の適時打で同点とされ、なおも1死満塁から清宮の2点適時打で勝ち越された。代わったスアレスも適時打を浴び、この回4失点。今季60試合目のルーキーは「状態は悪くない。大事な時期の試合。1年目だからといって許されない。弱い自分が出た」と責任を背負った。

5位相手の痛い取りこぼしにも、工藤監督は「ここまでその位置でやってきたので、頼りにしたいと思うし、切り替えてやってほしい」と甲斐野を責めなかった。6回途中で降板した先発和田も「5回の(清水)本塁打で流れが変わった。自分の失投。もう少し長く投げられていれば」と反省した。試合前は札幌ドームの地下駐車場入り口付近で車が駐車していた影響で、チームバスが通れず普段よりも遠いところで下車、50メートルほど多く歩いてロッカー室へ向かうハプニングもあった。西武との直接対決がない残り10戦。しびれる戦いは続く。【石橋隆雄】

▽ソフトバンク・モイネロ(6回2死から登板。1回1/3を無失点)「負けられない試合で(出番が)早くなると聞いていた。今季はイニングまたぎはあまりないが、準備はできていた」