日本ハムのドラフト4位、JX-ENEOS・鈴木健矢投手(21)が22日、神奈川・川崎市内の同社野球部合宿所で指名あいさつを受けた。

9月の台風15号では千葉・袖ケ浦市にある実家が被災。今月の台風19号では自身も避難所生活を経験した右腕は、台風に負けじと、プロで旋風を巻き起こす。

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ドラフト会議の直前に過ごした不安な一夜も、今となっては得難い経験と思える。12日、関東などを襲った台風19号。多摩川近隣にある所属先の合宿所には、氾濫の危険性から避難指示が出されていた。「(避難先の)廊下に薄い毛布を敷いて一晩過ごしました」。約1カ月前の台風15号では実家が被災。約1週間停電が続き、アウトドア用品などでしのいだ家族に向けて「ここまで野球をやらせてもらったので、活躍している姿を見せられたらいいかなと思う」。さらに、被災者を思い「まずは野球選手としてプレーで勇気づけられたら」と気持ちを新たにした。

武器は右サイドハンドから投じる最速147キロの直球と、スライダーやシュートなどの変化球で、右打者の内角をえぐるような投球だ。大渕スカウト部長とともにあいさつに訪れた坂本スカウトは「キレと伸び、ボールの勢いがすごくある。ハイレベルなボールの質で十分勝負ができる。1~2年じっくり中身を充実させて、日本ハムの勝ちパターンで投げる投手」と期待する。

宮西を目標に「中継ぎの一角として年間60試合くらい投げられるように」という右腕は、25日から日本選手権(京セラドーム)が控える。「最後の大会なので、そこで活躍するのが恩返しだと思う。しっかり結果を残せるようにやっていきたい」。アマ時代の総仕上げ。目の前の試合に集中している。

プロ入り後に対戦したい打者には西武山川を挙げた。「右打者を抑えることが仕事だと思う。本塁打を多く打っている打者と対戦して、自分の力がどのくらい通用するか確認したい」。社会人時代は17年アジア選手権で代表を経験した。「まずはチームでしっかり投げられるようになって、そこからまた(代表を)目指したい」と、侍ジャパン入りを目標とした。【山崎純一】

◆鈴木健矢(すずき・けんや)1997年(平9)12月11日、千葉・袖ケ浦市生まれ。8歳から競技を始める。袖ケ浦長浦中、木更津総合を経てJX-ENEOS入り。高2秋に上手投げからサイドスローに転向し、秋季関東大会準優勝に貢献。15年春甲子園は岡山理大付との1回戦8回から2回を無失点で、チームをセンバツ44年ぶり勝利に導いた。17年アジア選手権代表。176センチ、82キロ。右投げ左打ち。