プロ野球の快記録や珍記録を振り返る「データで見る19年」を連載します。プロ野球を球団別に12回連載。続いて日本人大リーガーを取り上げます。第6回はロッテ。

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鈴木がバッテリーを除く5つのポジションを守った。4月3日西武戦の8回にプロ8年目で初の一塁守備に就くと、翌日は6番一塁で先発。5月29日日本ハム戦では2番左翼で先発し、初めて外野を守った。これまで経験した二塁、三塁、遊撃も守り、DHでも17試合出場。今季、DHを含む6つのポジションで出場は鈴木を含め4人しかいない。今季は控えからスタート。開幕戦を欠場し連続出場が532試合で止まったが、終わってみれば140試合に出場。不慣れな位置を守りながら、失策は一塁で1個、三塁で1個の合計2個しかなかった。

打撃では打率、本塁打、打点の3部門ともプロ入り最高の数字をマーク。本塁打は一塁、三塁、左翼、DHで記録した。複数のポジションで出場するのは控え選手が多く、5つのポジションを守って規定打席に到達したのは12年明石(ソフトバンク)以来で2リーグ制後7人目。明石の打率はリーグ21位の2割5分4厘だったが、鈴木はリーグ8位の2割8分8厘。打率10傑入りは68年船田(西鉄)以来、51年ぶりとなった。選手が少なく、二刀流も珍しくなかった1リーグ時代にも同様のケースは3人しかいない。鈴木はDHでも出場しており、6つの位置で出場して規定打席到達は1リーグ時代の41年田中(阪神)以来で、2リーグ制後は初めてだった。

鈴木は交流戦が得意。今季は2位タイの打率3割6分8厘をマークし、交流戦の通算成績が525打数171安打で打率3割2分6厘。シーズンの打率3割は1度もないが、交流戦では8年間で打率3割を5度記録。交流戦通算500打数以上では3位の高打率を残している。来季からプレーする楽天は、最近5年の交流戦のチーム打率順位が11位→9位→11位→10位→6位。交流戦男の加入は、楽天にとってプラスになるはずだ。【伊藤友一】

▼ロッテは本拠地のZOZOマリンが狭くなり、本塁打が昨年の78本から158本へ倍増。本塁打はリーグ3位となったが、チーム打率はリーグ5位の2割4分9厘。中でも、クリーンアップの打率が低かった。中村、清田ら5人を起用した先発3番の打率は12球団最低の2割3分1厘。4番打率も12球団最低の2割4分1厘で、5番は打率2割5分4厘。昨年は先発したクリーンアップトリオで打率2割7分4厘を記録したが、今季は2割4分2厘へダウン。クリーンアップ打率が2割5分未満はロッテしかなく、チーム打率よりクリーンアップ打率が低いのもロッテだけだった。