虎が万博に参戦!? 阪神の本拠地に併設されている甲子園歴史館の運営会議が21日、大阪市内のホテルで開催され、施設の顧問を務める阪神川藤幸三OB会長(70)が25年大阪・関西万博での「甲子園パビリオン」プランを提案した。会議では21年3月に展示面積を1・25倍にして移転リニューアルする展示計画を承認。その中で「世界の甲子園」に発展させるべく、奇想天外な構想をぶち上げた。

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高校野球、熱狂的なファンをのみこむ野球の聖地に驚天動地の夢プランが浮上した。21年3月に新装される、甲子園歴史館の運営会議。顧問を務める川藤OB会長が誰も予期していない構想を提案した。

「もっともっとアピールしていかないかん。25年に万博があります。世界からもいろんな国から集まってくる。同じアピールするなら、甲子園歴史館のパビリオンを建てたらどうやと」

関西ローカルの視点にとどまらず、世界的に「甲子園」をPRする場として、大阪・関西万博をとらえる発想だ。25年4月から10月まで、大阪市夢洲地区で開催予定。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」だ。2025年日本国際博覧会協会事務局は「川藤案」について「どう(テーマと)合致させていくか。どういうパビリオンになるかという話になる」とコメント。パビリオンは各国の出展をメインとし民間からも募る構想で、チャンスはありそう。同事務局は「どういう形で募るか、時期などもまだ決まっていません」と説明した。川藤氏も「突拍子もないこと」と前置きするが、歴史館担当者は「初めて聞きました。もちろん提言をいただいたので、今後、検討させていただきます」とうなずいた。現時点では夢物語だが、関西に根ざした阪神と甲子園の文化を伝えたい思いがある。熱い浪花節は止まらない。

「同じ新しくなるんだったら、もっと大きいことを考えてもええやないかい。まだ5年ある。5年先に向けて甲子園パビリオン、ごっつええやろ。東京に負けたらあかんでという。大阪がやるんやからな。なにわの力やないかい。見せたらんかいってことや」

10年3月に開業した歴史館は、昨年12月時点で約125万人が来館。台湾など海外からの観光客も訪れる。だからこそ言う。「それには阪神タイガースが今年から、それだけのものを見せていかないといけない。(選手も)世界的に通用するように」。昨季は3位でクライマックスシリーズに進出した。セ界制覇、日本一こそ「世界の甲子園」への第1歩になる。【酒井俊作】

◆大阪・関西万博 25年4月13日~10月13日の184日間「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、大阪の人工島・夢洲(ゆめしま、約155ヘクタール)で開催予定。想定来場者数は約2800万人。経済波及効果は約2兆円と試算されている。日本での万博は05年の愛知以来20年ぶり、大阪では70年以来55年ぶりで、当時は「太陽の塔」「月の石」などが話題となり、6421万人が来場した。大阪府・市は24年度までに夢洲にカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致も目指している。