西武松坂大輔投手(39)が、4889日ぶりに西武ユニホームで実戦に登板した。

25日、サンマリンスタジアム宮崎での韓国・斗山戦に先発。先制2ランを浴び1回3安打2失点の結果に自らダメだしをしながらも、開幕ローテーションに前進した。チームは今後も1軍で登板させる方針で、2軍キャンプ地の高知で調整しながら、次回3月上旬のオープン戦で登板する見込みとなった。

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4889日ぶりに奪ったアウトカウントは、先頭への2球目カットボールからだった。松坂は真っさらなマウンドに立ち、プレートに正対して屈伸した。6足分の歩幅に線を引き5球練習投球。プレーボール後の初球、振りかぶったワインドアップから先頭打者には直球勝負を仕掛ける。139キロを見逃し。2球目、カットボールを引っかけさせて二ゴロに打ち取った。「(テーマは)ゲームの入り方ですね」。落ち着いて1アウトを奪った。

2人目から4者連続左打者の打線につかまる。右中間三塁打で1死三塁の場面。昨季韓国リーグMVPの3番オ・ジェイルに、外角を狙った140キロの直球が内角高めに入り、右翼スタンド上段へ運ばれる。「打たれた瞬間いったのが分かった。そりゃそうだなという感じ」。先制2ランを浴び、続く4番は左飛。5番にはカウント3-1から中前へ運ばれた。最後は右飛に打ち取り、1回3安打2失点で終えた。

22球の投球内容には、自らダメ出しした。手応えを聞かれ「今日は特にない」とバッサリ。高めに浮いた球を痛打され「悪いボールがそのまま結果になった。『あのボールを打たれるはずがない』というわけではない。ホームランを打たれたところも、シーズン中ならああいう(コースが甘く入る)外し方はしない」と、理想の形が頭にあるからこそ、現状の自分を冷静に見つめた。

登板直前、若手選手からおそるおそる話しかけられても「全然大丈夫。昔は、投球前はダメだったけどね」と笑顔で会話をした。4889日の時を経て、変化は投球スタイルだけではなく、内面にも表れる。今後は高知で調整しながら、3月上旬のオープン戦での1軍登板に備える予定。「あと何試合投げられるか分からないけど、次の試合では3回でも4回でも投げられたらいい」。見据える先は開幕ローテーション。1歩ずつ前進していく。【栗田成芳】

▽西武西口投手コーチ いい緊張感で投げられた。基本的には上(1軍)で投げてもらう。次は球数もイニングも増やしていく。

▽西武森 結果的に失点したけど、1つ1つの球種はすべてよかった。真っすぐでガンガン押すタイプではない。きれいにアウトを取ろうとするのではなく、泥くさくても1つ1つ取っていけたらいい。

◆松坂の西武での登板 06年10月7日のプレーオフ第1ステージ・ソフトバンク戦以来、4889日ぶり。この試合は斉藤和との投げ合いで、互いに譲らず0行進。松坂は4死球を与えながらも、味方が7回に挙げた1点を守りきり、9回6安打13奪三振の完封勝利。チームはその後連敗して第1ステージ敗退となり、これが渡米前最後の登板になった。