海を渡ったサブマリンが故郷から再始動した。米大リーグのパドレスから新加入の楽天牧田和久投手(35)が地元静岡で871日ぶりに日本のマウンドに立った。DeNA戦の6回に登板し1回1安打無失点。球場表示で最速127キロながらスピードアップ賞3度の右腕は“デビュー戦”を5分でまとめた。

今年で36歳の年男はドキドキしていた。「すごく緊張しました。日本復帰前と後の差もある。自分のピッチングができるか不安もあった」。戦場に立てばスイッチオン。小気味よく右腕をすべらせた。先頭のDeNA百瀬に中前打も、続く神里を外角高め速球で遊ゴロ併殺。新外国人のオースティンには88、89キロのカーブで揺さぶり、内角シュートで三ゴロに仕留めた。

ピンチもチャンスに変えた。日本のボール、マウンドに合わせるため、キャンプ初日に49球、2日目に100球を投げ込んだが、肩に張りを覚えペースダウン。焦らずできることに徹した。帰国後93キロあった体重を渡米前に近い88キロまで減量。夕食は大盛りのサラダに鳥のむね肉を乗せ、おかずは1品まで。毎日同じメニューを食らい“アメリカンボディー”を日本仕様に仕上げた。

先発、救援ともにこなす万能力が持ち味。ブルペン待機が基本線だが、三木監督は「経験豊富でいろんな引き出しがある」と柔軟な起用法を模索する。静清工2年秋以来、18年ぶりにプレーした同地での8日中日戦で次回登板を予定する。「対戦相手も変わるし自分の試したいこともある。投げる楽しみはあります」。1歩踏み出せた。2歩目がすでに待ち遠しい。【桑原幹久】