プロ野球の3月20日の開幕が新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、延期案が本格的に検討されていることが7日、分かった。オープン戦をすでに無観客試合で行い、日本野球機構(NPB)はJリーグと合同で対策連絡会議を開き、対応を協議中。結論はまだ出されていないが、未知の病原体の終息気配は見えず、通常開幕は難しい流れになってきている。

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球界の開幕の息吹が聞こえてこない。20日まで2週間を切り、時間的猶予もわずかに残されているが、関係各所で開幕延期を前提とした善後策が本格化していることが判明した。

2月26日に3月15日までのオープン戦72試合の無観客試合を決めたが、その後も国内で新型コロナウイルスの拡大は止まらない。9日にJリーグとの第2回の対策連絡会議、同日に12球団も含めた実行委員会を経て、12日にも専門家から意見書を受け取る予定。それを踏まえて開幕の可否を判断する。NPBの斉藤コミッショナーは「3月20日は我々としてはできればやりたいという気持ちは強い」と意気込んでいた。だが状況は好転しておらず、11年東日本大震災以来となる開幕延期の決断を迫られる可能性が日に日に色濃くなっている。

延期となれば、日程再編に苦しむことになる。五輪イヤーで、今季は7月21日から8月13日までが中断期間。五輪に選手を派遣するチームの戦力不均衡を生まないために、この期間で代替開催することは不可能に近い。まとまった空白の日程も少ない。レギュラーシーズンの予備日として確保されている10月中旬以降の約10日間はあるが、天候不順も考慮しなければならない。11月7日に開幕予定の日本シリーズを後ろにずらすなど、選手の調整、球団の経営への影響は計り知れない。

開幕を2週間前後遅らせ、4月上旬に仕切り直す案も浮上しそうだ。もちろん、その時点で新型コロナウイルスとの闘いが決着することもないだろう。今は球界が、スポーツ界が一丸となって、着地点を模索する。

 

<新型コロナウイルスをめぐるプロ野球界の動向>

◆2月25日 巨人が29日と3月1日のオープン戦無観客試合を発表。

◆同26日 12球団代表者会議を臨時で開き、3月15日までに予定されているオープン戦と教育リーグの無観客開催を決定。

◆3月2日 NPBとJリーグが合同会見を開き「新型コロナウイルス対策連絡会議」の設立を発表。

◆同3日 第1回会議を開催し、専門家から開催時のファンの応援スタイルのリスクを指摘される。

◆同9日 第2回の会議が予定。

◆同20日 プロ野球開幕予定。

 

◆過去のプロ野球開幕延期、中止 2リーグ制後、リーグ全体で意図的に開幕延期を決めた例は、東日本大震災が起きた11年だけ。11年は3月11日の震災を受け、同25日に予定されたセ、パ両リーグ開幕戦が4月12日に延期となった。3月17日にはセが予定通り強行、パだけ延期する分離開幕として発表されたが、選手会の要望や世論の反発もあり、最終的に両リーグとも延期が決まった。両リーグの延期分は89試合。日本シリーズ開幕を当初の10月29日から11月12日へ2週間遅らせるなど、日程を組み直した。1リーグ時代の45年は、太平洋戦争激化のためリーグ戦を開催できなかった。51年セ・リーグは開幕時に広島が解散危機にあり、広島以外の球団だけで開幕。53年セ・リーグは米国サンタマリアでキャンプを行っていた巨人を除いて開幕した。