昨季セーブ王の楽天松井裕樹投手(24)が、先発ローテ投手への道のりを1歩ずつ踏みしめている。21日、楽天生命パーク宮城で練習試合オリックス戦に先発。「リリーフの時の気持ちで立ち上がる」をテーマに今季実戦6戦目で最多の82球を投げ、4回4安打3失点(自責2)とした。

「前回(15日巨人戦)に比べたら、らしさも出てきている。でも、まだまだいける。カウントの整え方、ランナーが出た時の意識であったりはまだまだ」。収穫と課題の日々を、ノートをひもときながら振り返る。

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★転向宣言 昨年12月17日、仙台市内の球団事務所(期待と不安を交じらせながら決意を口に)「来シーズンは先発をやります。どこかで先発に戻りたいとは常に思っていた。27歳、28歳にいってからではちょっと遅いのかなと」

★自主トレ公開 1月26日、本拠地の室内練習場(球数削減を狙い、従来のセットポジションからノーワインドアップへ変更。合同自主トレをともにするヤンキース田中からも心得を学んだ)「動きの中で力を作っていった方が、1球にかかる力のロス、エネルギーが少ないのかなと思って挑戦中です」

★キャンプ初ブルペン 2月1日、沖縄・久米島野球場(リズムを意識。フォーム固めのため、負担のかからない右打者の外角高めへ64球)「元々テンポが悪いので捕ってからすぐに投げるようにしました」

★初の実戦登板 同15日、沖縄・金武町ベースボールスタジアムでの練習試合ヤクルト戦(約2年ぶりの先発マウンドで2回を完璧に抑えた)「試合までに何をしていいか分からないので、ぼーっとしていました。もうちょっとどっしりと過ごしたい」

★2戦目 同22日、沖縄・アトムホームスタジアム宜野湾 練習試合DeNA戦(予定の3回を持たず8安打6失点。壁にぶつかった)「先発としてうまく投げようとしすぎていた。もっと強い球を投げることを基本に考えたい」

伊藤投手チーフコーチは「特徴を出せていない。あのままでは先発としては失格」と厳しい言葉。

★3戦目 同29日、千葉・ZOZOマリン ロッテとのオープン戦(従来のセットポジションで5回2失点。挑戦中のノーワインドアップを封印)「しっかり強さを出すというところで1回立ち返った」

★4戦目 3月7日、静岡・草薙球場、中日とのオープン戦

ビシエドの打球を直撃させ1回途中、12球で緊急降板。右手掌打撲を負った。

★5戦目 同15日、東京ドーム 巨人とのオープン戦(予定日を1日遅らせ6回から登板。1回無失点)「普通に投げられることを見せられた」

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本来であれば開幕2戦目の先発が有力視されていた3月21日。練習、実戦、改善のサイクルを見守る伊藤コーチは「失敗もしながら、反省して次に生かしていかないといけない課題に取り組んでいけていると思う」と方向性は間違っていないとした。松井は「投げるたびに出てくる課題に対して取り組む時間ができたというのはプラスに捉えています。まだ時間が幸いあるので、もっともっと自分と向き合って状態を上げていきたい」。1歩、また1歩と進む。【桑原幹久】