中日吉見一起投手が捨て身の投球でチームの連敗を4で止めた。

5回75球のすべてに魂を込めた。唯一のピンチとなった4回無死一、二塁。広島の主砲・鈴木誠を打席に迎えても攻める気持ちは変わらない。徹底して内角を突くき、シュートで三ゴロ併殺。松山に適時打は許したが、1失点で踏ん張り、自身1年ぶりとなる勝利の権利を手にして、救援陣にバトンを渡した。

「何としても連敗を止める。それをモチベーションに臨みました。大げさかもしれませんが、つぶれてもいいという思いでマウンドに上がりました。途中バテましたけど、なんとか最低限の仕事はできたと思います。(鈴木誠には)外だけでは打ち取れない。ぶつけてもいい。それくらい腹をくくって投げました」。試合後、一塁ベース付近に設置された無観客のヒーローインタビューで、悲壮な覚悟のマウンドだったことを明かした。

35歳のベテラン。もちろんただ捨て身なだけではない。今季から右足を一塁側プレートに置き、内外角に投げ分ける。「ストライクゾーンを広げて…。事前の打ち合わせ通り、加藤がうまくリードしてくれました」と語ったようにシュート、スライダーを駆使して相手打者の目線を惑わし、強力打線を単打4本に封じ込んだ。

昨年、唯一の白星となった6月22日の日本ハム戦以来の勝利投手は「うれしいです」と素直に喜んだ。背水の覚悟で臨んだ15年目。価値ある1勝目を刻んだ。【安藤宏樹】

▽中日与田監督(連敗を4で止め、今季本拠地初勝利に)「選手がほんとによく頑張ってくれた。(先発の)吉見も途中、フラフラになっていたので大丈夫かなと思いましたけど、ベテランらしいピッチングをしてくれたと思います。昨日までの4連敗を早く取り戻さないといけないので明日も勝利をめがけて戦います」