“北の鉄腕”日本ハム宮西尚生投手(35)が12日、ロッテ8回戦(ZOZOマリン)で、またもや金字塔を打ち立てた。4-7の8回、6番手でマウンドへ。味方の好守備にも助けられ、1イニングを無安打無失点。今季13ホールド目、自身が持つ日本最多記録は節目の通算350ホールドに到達した。それでも、最強セットアッパーの目標は、道半ば。まだまだ、前人未到の道を行く。

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蒸し暑い敵地のマウンドに、背番号25が仁王立ちした。終盤、ロッテの猛反撃にあって3点差。8回。6番手で登場した日本ハム宮西は、先頭にこそ四球を許したが、後続を右飛と二ゴロ併殺に打ち取り、無安打無失点で淡々と仕事をこなした。吹き出す汗を拭いながら「この球場は苦手」と苦笑い。前人未到の350ホールド到達も、1試合2発を放った同期入団の中田に主役の座を譲り「リリーフは裏方に徹する!表舞台に立つのは、先発とか野手でいい」と、誇らしげに笑った。

140キロ台の直球とスライダー。たった2つの球種で、プロの世界を生きてきた。前カードの西武戦(札幌ドーム)では、初対戦のスパンジェンバーグに直球を左前打されたが、翌日以降は2打席ともスライダー一辺倒で空振り三振に斬った。「目先の抑えることより、勝負どころでの1球に懸ける配球を人一倍考えている」。先発なら1試合を通して考えるところ、セットアッパーは1人の打者と1打席勝負。臨機応援に、先を見据えて種をまく。攻め方、投球間隔など、深く考えるようになったのは、増井(オリックス)谷元(中日)の先輩救援2人が抜けた18年からだ。

さらに「逆球は配球の1つとして考える」と言うから驚く。狙った位置の対角線へボールが行く強みを理解し、打者や試合展開を踏まえて「抜けのはナシ、引っかけるのはアリと、使い分けはちゃんとしている」。やんちゃな見た目とは裏腹に、計算高い。

野望がある。「ホールドはプロ野球の記録としては時代が浅い。『昔の人だったら、それくらい取っていた』と言われるんやったら、500H取ればいい」。“北の鉄腕”が目指すのは、未来を切り開く選手たちの、確かな道しるべになることだ。【中島宙恵】

▼通算350ホールド=宮西(日本ハム) 12日のロッテ8回戦(ZOZOマリン)で今季13ホールド目を挙げて達成。プロ野球史上初めて。初ホールドは08年4月4日オリックス1回戦(京セラドーム大阪)。