楽天が1つの正念場を迎えた。西武に敗れ首位ソフトバンクに今季最大の4・5ゲーム差をつけられた。

先発塩見が5回5失点で5敗目。主軸の浅村、ロメロに1発が出たが及ばなかった。三木監督は「選手は粘ってくれたが、なかなか僕自身も試合をうまく運べなかった」と唇をかんだ。

5回。「ちょっとしたターニングポイント」と指揮官が捉えた。先頭ロメロがソロを放ち2点差に詰め寄る。続く岡島が左翼線三塁打。いけいけムードの中、足立、小深田が前進守備の内野正面へのゴロで凡退。田中も倒れた。三木監督は「追いつき、追い越せるのかというところ。野球はそういうもの」と1点の重みをかみしめる。

定義がある。「動かないことも作戦の1つ」。理想は“1点を守り、もぎ取る野球”。「今日は試合運びでいろんなことを考えさせられた、野球の難しさを感じた」。昨秋キャンプから機動力の向上を求め、細部までこだわり、開幕ダッシュを支えた。信頼する選手の能力を最大限に引き出すため、後半戦はベンチワークの重みが増す。

「波」が小さい。シーズンを折り返し、最大連敗は4ながら、同連勝は3。勢いに乗り切れない。ファームでは通算126勝の岸、昨季33本塁打のブラッシュが調整中。現有戦力に肉付けする「大駒」の働きが、ここから先は欠かせない。

三木監督はチームと自身へ言い聞かせた。「1点、1アウト、目に見えない流れが試合を左右する。結果論から学ばないといけないこともある。何かもう少し手を尽くしてやることも大事」。引き離されるわけにはいかない。【桑原幹久】