日本ハムはオリックス15回戦(札幌ドーム)で「魂の塊打線」を組んで臨んだが、白星は遠かった。栗山英樹監督(59)は試合前、好左腕のオリックス田嶋攻略へ向けた、サプライズ打線の予告をしていた。

栗山監督 今日は思いっきり、打順をいじっているから。やっぱりその、なんかもう、必死の魂の塊みたいなものが、今一番欲しいという打線なので。

発表されたスタメンには「2番左翼」で帝京出身のプロ4年目、郡拓也捕手(22)を抜てき。2番も左翼としての出場も、もちろん初めてだった。同監督は試合後に意図を明かした。

栗山監督 (9番遊撃の)谷内も含め、田嶋が(攻略は)なかなか難しいと分かっていく中で、右バッターの方がいけるんじゃないかと思って。

6日に再昇格した捕手登録の郡は、試合前練習で好調さをアピールしていた。スタメン起用のタイミングを考える中で、これまでに準備させてきたユーティリティーさを生かすことにした。プロ入り後は捕手だけでなく内外野にも挑戦。持ち前の器用さもあり、今季も2軍戦では三塁手や二塁手としても出場してきた。

指揮官は二塁としてのスタメン起用案も考えながら、最終的に左翼で起用。安打こそ打てなかったが、6回には四球を選んで出塁。続く近藤の5号2ランを呼び込んだ。「郡のフォアボールもすごく大きい。何とかしようというものが、流れを変える」。5回途中まで完全試合ペースで抑え込まれた中で、田嶋を攻略しかけた魂の四球が、期待を少し膨らませてくれた。

栗山監督が期待する郡の将来像は「いろんなところが守れてキャッチャーも出来るという新しいスタイルというものを、何年も前から、あいつには言ってきた」というものだ。6回からは捕手を務めた。外野のスタメンから捕手へ守備位置を変更したのは、13年近藤以来、チームでは7年ぶり。9回の守備では捕逸などもあり、ほろ苦い経験もしたが、必死に先輩投手をリードする姿は成長への糧となるはずだ。

ただ、試合は先手を取られて逃げ切られた。借金も今季最多の8までふくらんだ。「こういう試合を取れるかが1つの課題」と栗山監督。郡が見せた魂も勝利につなげられない悔しさと、最下位オリックスに4・5差に詰め寄られた現実だけが残った。【木下大輔】