スーパームーンの横浜ナイトに、長髪をなびかせた。オリックスの高卒2年目左腕、宮城大弥投手(19)が、6回4安打3失点でチーム最多の5勝目を挙げ、連敗を4で止めた。「野手の援護もたくさんあったので、集中が切れずに投げられた」と笑顔がはじけた。

“負けない男”を継続した。今季5勝無敗で勝率10割をキープ。球団の開幕5連勝左腕は1953年(昭28)の阿部八郎(阪急)以来、球団68年ぶり2人目。10代では球団初の快挙だ。この日の最速は151キロで最遅は99キロのカーブ。緩急を駆使し、前夜5発のDeNA打線を手玉に取った。

心優しい19歳は“超外弁慶”と頼もしい。今季5勝は全て敵地。「ビジターは好き。時間の使い方が今は良い」。練習開始時間が本拠地よりも遅く「ホームより(試合まで)短い。投げるまでに考えてしまう部分があるので(敵地は)集中しやすい」と明かした。

背伸びもしない。順調に結果が出ても「周りと比べない。あまり考え過ぎないようにしています。(先輩が)山岡さん、(山本)由伸さんですから、比べるのも…」と平常心を保つ。

2回にはプロ初打席で初安打。「たまたま当たった。まぐれです」と照れ、18安打14得点の大勝に一役買った。沖縄・宜野湾出身。幼いころ、2月に見た(DeNAの)青色ユニホームは「あのころは、名前はあんまり覚えてなくて…(沖縄出身の)嶺井さんとか?」。次回は6月2日、セ界の首位を走る阪神戦が有力だ。またもビジターだが、高校時代に輝いた甲子園は勝手知ったる庭。無傷の6勝を目指す。【真柴健】

◆伝説の阿部八郎(あべ・はちろう)とは 1925年(大14)1月6日生まれ、福島県出身。福島・石川中-福島日東紡を経て阪急(現オリックス)入団。50年14勝を手始めに2桁勝利を5度記録。51年の150奪三振はパ・リーグ最多。59年西鉄へ移り同年引退。現役時代は169センチ、65キロ。左投げ左打ち。