“どさくさ弾”でも、紛れもなく主砲を全うしている。巨人岡本和真内野手(25)が、リーグトップに並ぶ24号を丸との2者連続アーチで決めた。3回1死、丸の先制ソロ直後の初球。興奮冷めやらぬ間にカーブを完璧に捉えた。ベンチに戻った丸が肘当て、打撃用手袋、ヘルメットを外すよりも早く、左中間席に運んだ。

「どさくさに紛れて打ちました。一振りでしっかりと仕留めることができて良かった」と岡本節全開で振り返った。この1発でチーム本塁打が12球団最速で100号に到達。4番として約4分の1を量産してけん引する。

25歳誕生日前日だった6月29日広島戦に続く“どさくさ弾”だった。同点の8回、丸の同点適時打の直後、初球を23号勝ち越し3ランとした。同戦ではルーキー左腕森浦から、この日はDeNAの21歳右腕阪口から。経験の浅い2投手の、動揺した中で投じた1球を逃さずに仕留めた。「丸さんだったり、前の打者がしっかり打ってくれるからこそ。丸さんは本当に心強いです! 自分は来た球をしっかり振るだけ」と自ら分析した。

圧倒的な“初球力”も光る。初球本塁打は両リーグトップの9本目。前半戦にして自身の初球弾の最多となる18年と20年の7本を超える。さらに今季24発のうち、ソロ10本、2ラン7本、3ラン7本。走者をためたここぞの1発が目立つ。4番の堂々の一撃で首位阪神をゲーム差1・5でぴったりマーク。首位の背中は紛れもなく近い。【小早川宗一郎】

◆岡本和の初球本塁打 今季9本はすでに18、20年の各7本を上回る自己最多。今季の本塁打上位選手と比べても初球を打った本塁打が多く、セ・リーグで続くのは坂本(巨人)ら6人の3本。パ・リーグ最多の柳田(ソフトバンク)でも4本だから、9本は断トツの多さだ。ちなみに、巨人で初球本塁打を10本以上打ったのは12年阿部が最後。