中日渡辺勝外野手(27)が「2番左翼」で今季初スタメンに起用され、先制打&プロ1号を放ちチームの連敗を6で止めた。8月3日に死去したチームメートの木下雄介さんにささげる弔い星のヒーローとなった。

木下さんが急死してから初の本拠地での一戦。試合前に黙とうをささげて臨んだゲームで3回には広島森下から先制の左前打。8回にはケムナから右翼席へプロ6年目にして初アーチを運んだ。最高の結果を出して初のお立ち台に立った渡辺は目を潤ませ、何度も声を詰まらせながら同志への思いも語った。

「いろいろと共通点があって。育成上がりですし、同学年ですし…。共通する仲間だったんですが、見てくれていたと…うれしい勝利だったと思います」。入団は渡辺が1年早いが、木下さんとは同じ境遇で挑戦を続けた。思いはバットに通じた。

後半戦から1軍に昇格。難易度の高い1本足打法を続けてきた。ようやく出たプロ初アーチ。「今の形は完璧ではないけど、とりあえず1本出たので。入団したときには想像できなかったので。本当にうれしい」。亡きチームメートにささげる1発は渡辺にとっても生涯忘れない一撃となった。【安藤宏樹】

◆渡辺勝(わたなべ・まさる)1993年(平5)10月14日生まれ、神奈川県出身。東海大相模では3度甲子園に出場し、2年夏は準優勝、3年春は優勝。東海大を経て15年育成ドラフト6位で中日入り。18年末に支配下へ昇格し、19年に1軍デビューを果たした。172センチ、80キロ。右投げ左打ち。

▽中日与田監督(2番に起用した渡辺が2打点の活躍で連敗ストップ) 守備も走塁ももちろん、打力も期待していた。連敗を止める上ではいい刺激になったと思います。

▽中日福谷(グラブに木下さんの背番号「98」を書き込み、7回4安打無失点で6月23日以来の5勝目)「(前半戦終了時に)シーズンが終わったくらいのつもりでゼロから作り直してきた。きょうから1試合目のつもりで投げました」

▽中日福谷(グラブに木下さんの背番号「98」を書き込み、7回4安打無失点で6月30日以来の5勝目) (前半戦終了時に)シーズンが終わったくらいのつもりでゼロから作り直してきた。きょうから1試合目のつもりで投げました。

▽中日京田(3回2死から四球で出塁。二盗を決め、渡辺の左前打で生還) 後ろにつなぐ気持ちでとにかく積極的にスタートを切った結果です。