うれしいニャ~! 3年目の愛猫家、楽天弓削隼人投手(27)が9月30日、日本ハム24回戦(楽天生命パーク)で今季初勝利を挙げた。

4月10日以来、約5カ月半ぶりのチャンスに5回1失点と応えた。昨年10月に左肘をクリーニング手術。苦しい時期も愛する猫に癒やされながら、気持ちは切らさなかった。チームは19試合を残し、首位ロッテに3・5ゲーム差と詰め寄った。日本人左腕最長身の身長193センチが、福を招いた。

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猫の手も借りたい…。そんな状況を、愛猫家の弓削が埋めた。3週間ぶりの6連戦で先発が1枚必要な状況。石井GM兼監督が「現状ファームではなかなかだらしないというか、俺がそこの空いているところに入りたいという希望者がいない」と嘆く中、弓削に約5カ月半ぶりの1軍マウンドが巡ってきた。

独特の緊張感も漂う。それでも大量援護に「楽に投げることができました」。5点リードの5回無死一、二塁のピンチも併殺と三振でしのいだ。「何とか気持ちで抑えられました」。昨年8月以来の白星で、久々のお立ち台に立った。

苦しい時期も、いとしの“家族”が支えてくれた。昨年から自宅で三毛猫を飼っている。名前は「あられちゃん」で今年で2歳。実家では犬を飼っていたが「僕は猫派なので…」と一目ぼれした。193センチの長身を丸め、もふもふとたわむれながら、豆やひき方にもこだわるコーヒーをすする時間が、至福のひとときだ。

昨年10月に左肘のクリーニング手術を受けた。術後は思うように、肘を使えず、結果が出なかった。トレーナーの発案で練習の一環としてバドミントンを取り入れ、シャトルを打ちながら、適切な肘の使い方を染み付けた。豪華先発陣に食い込むことは、猫の額ほど難しい。それでも、努力と“家族”のおかげで、気持ちは切らさなかった。

この日は、ファームで精度を磨いた自慢のカットボールがさえた。石井GM兼監督は「『僕いますよ』というアピールはしてくれた。チームのために頑張ってくれるピースになってくれれば」と次回以降のチャンスに頭を巡らせた。残り19試合と終盤を迎え、弓削の台頭は大きな意味を持つ。「今シーズンは自分自身苦しいことが多かったですけど、何とか1勝することができてほっとしています」。前日29日は「招き猫の日」。杜(もり)の都のファンに“うれしいニャ~”と言わせるために、福を招き続ける。【桑原幹久】