オリックス福田周平内野手(29)がド根性を見せた。先制された直後の5回2死二塁、高梨の内角に食い込むフォークを振り抜き、バットの根元で左前までもっていった。一時同点とする左前適時打。相手右腕を降板させ、寒さをこらえて応援する神戸のファンをようやく沸かせた。

「(それまで高梨は)変化球が低めのいいところに決まっていた。その低めの球を我慢して、詰まってでもいいので、なんとか後ろにつなごうという気持ちで打席に入っていた。その意識が、いい結果につながってくれたのだと思う」。

手のしびれも恐れない。どん詰まりはフォア・ザ・チームの証しだった。

打線は序盤から高梨に苦しめられていた。だが、身長167センチの1番打者は「らしさ」を出した。初回先頭で7球粘って四球。3回は1死から、詰まりながら中前へ運びゲームメークした。

「便利屋」から脱した飛躍のシーズン。5月に1番中堅に定着し、中嶋監督の期待に応えた。初の日本シリーズで6試合中、5試合で安打をマークし、この日で4試合連続安打。奮闘したが、日本一には届かなかった。