ロッテ角中勝也外野手(34)がプロ野球ファンをざわつかせた“あのシーン”の真相を初告白した。

事件が起きかけたのは、6月18日の西武戦(メットライフドーム)でのこと。好調が続き4番打者を任されていた角中は、4回表に先頭で打席に入った。

西武高橋光成投手(24)とのカウントが4球目で2-2になると、角中はしばし考えてタイムを取った。1、2、3、4歩とマウンドへ向かう。一触即発か!? 緊迫感が高まった。

6歩目で止まった角中はバットを突き出し、1回2回と何かを払い取るしぐさ。「…あれ?」 メットライフドームにホッとした空気と少しの笑いが流れ、一件落着になった。

このシーンはネット上でも「虫か?」と話題が広がり、シーズンオフにはバラエティー番組でも取り上げられた。

角中が明かす。

「あれ、クモの巣です」

まさかのクモの巣。正しくは、天井か防球ネットに張られたクモの巣が宙に舞い、クモの糸として落ちてきた状況のようだ。

「虫がいるとけっこうタイム掛けますけど、クモの糸は初めてです。フワフワフワ~って飛んでたっす。その前の球くらいから視界には入ってたんですけど、微妙な風でフワフワ~ってボールの軌道上に来たので、これは無理やな~って」

18・44メートル先から時速140キロ以上の速度で向かってくる円周23センチ前後の硬球に対し、クモの糸の太さは一般的に5ミクロン(0・005ミリ)とされる。

「それで軌道が変わるとは思わないですけど、気になって。集中力で結果はけっこう変わるので」

クモの糸を取り払った後は1球のボール球とファウル4球で粘り、四球で出塁。安田の適時打で生還し、勝利へつながる追加点に貢献した。極限の集中下で排除した5ミクロンに、プロの職人のこだわりが詰まっていた。【金子真仁】

○…取材を終え、角中に座右の銘をしたためてもらった。色紙に迷いなく書いた2文字は「適当」だった。そのココロは? 「テキトー、じゃないですよ。漢字で“適当”です。適した場所に当てはまる、ってことです」。個性的なアプローチは随所に行き渡る。

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