犬鷲が復活した。楽天打線が11安打8得点と奮起し、巨人に勝利。ソフトバンクが敗れたため、5月30日以来12日ぶりに首位へ浮上した。試合前時点では、9戦18得点と火力不足にあえいだ6月。5月5日の日本ハム戦(札幌ドーム)以来となる8得点と、ようやく勢いがついた。

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口火を切ったのは、ベテランだった。2回2死二、三塁、川島が1号3ランを放った。声でもチームを支えるベテランの1発。石井一久GM兼監督(48)は「慶三とかが打ってくれるとやっぱりうれしいですよね。今日は頼んだぞとセカンドで起用したので、そこに応えてくれると僕もうれしい」。満面の笑みで川島を迎え、ハイタッチ。ベンチが一気に沸き立った。

7回は無死満塁から3番浅村、4番島内、5番銀次が打点を挙げ、4得点。8回1死満塁では、再び浅村が投手への適時内野安打で突き放した。レフトスタンドからはチャンステーマが絶えず流れ、手拍子も一段と大きく響いた。指揮官は「選手が笑っている時の顔を見たいから頑張れるというのもあるので、そこは良かった」と目を細めた。

球団最長の11連勝後、得点力不足に悩まされた。石井GM兼監督は「(選手たちが)なんとかしないとという気持ちが強すぎるのかなと思う。どうにかしないといけないということの責任感が悪い方向に出た」と振り返る。安打は出る。チャンスは作れる。あと1本が出なかった。強い打球が守備の正面を突くこともあり、どことなく暗い雰囲気が漂っていた。

苦しみながらも踏ん張り続け、首位陥落後も2位をキープ。交流戦最終カードにして打線もかみ合い、首位に再浮上。指揮官は「みんな、ここという時に積極的にバットを出してくれて、いい結果が出た」と選手をたたえた。高く飛ぶためには1度かがむことも重要だ。今度は首位固め。犬鷲が地面を強く蹴り、高く飛び立とうとしている。【湯本勝大】

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