昨季の盗塁王、ロッテ和田康士朗外野手(23)が1点をもぎ取った。

1点を追う9回無死一、三塁。和田は代走で起用され、三塁まで進んでいた。「一塁走者が走ってもストップって言われていました。高いボール(二塁送球)だけ行けと言われていて」という状況。岡の二盗を阻止する送球を遊撃石井がはじき、前のめりに。ボールもこぼれた。動いた。

「危ないと思ったら行かなかった。セーフになる自信があったので」

本塁へ-。スタート地点は土か芝かの境目。助走がなく、やや前傾しただけの状態から一気に駆けだした。本塁への到達タイムは、ストップウオッチ計測でちょうど3秒ほど。「捕手がほとんど動いていなかったので、ドンピシャかなと」。回り込むようにヘッドスライディングし、間一髪でホームイン。新庄監督からのリクエストもあったものの、同点が認められた。その後、中村奨の決勝3点適時二塁打につなげた。

64試合を終え、出場は33試合にとどまる。代走出場で24盗塁した昨季からは一変、延長戦が復活した今季は出場機会が減った。それでも「しっかり出た時は今日のような1点をもぎ取るような走塁ができたら」と備える。

井口監督は就任以降、試合数以上の盗塁数を目標にしてきた。この日はチームで4盗塁し、64試合に対し65盗塁に。チーム2位、8盗塁の和田は「走塁はチームも意識高くやってることなので、それが生きた試合なのかなと思います」と満足そうに話す。

9回、レアードが先頭で出塁して代走が出た時点で外国人選手は全員ベンチへ下がっていた。本来理想とされてきた「機動力を交えたつながりの攻撃」が必然的に求められる中で小川、和田、岡の代走3連発がいずれも生還し、土壇場で勝った。交流戦3位の勢いを消さず、敗色ムードからの逆転劇。借金は3に圧縮され、1カ月以上ぶりの単独4位に浮上した。【金子真仁】