亡き父へ届け-。日本ハム宮田輝星(ほくと)外野手(24)が、ソフトバンク13回戦(ペイペイドーム)でプロ初安打を放った。2回に自慢の快足で遊撃への内野安打をもぎ取った。父成男さんの命日である6月24日は来ることができなかった、大学時代を過ごした福岡で、鹿児島出身の薩摩隼人(はやと)がメモリアル安打を天国の父へ贈った。チームは延長10回に石井一成内野手(28)が決勝4号2ランを放って大熱戦を制した。

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2週間遅れでも、輝きは変わらない。宮田が魅力を存分に発揮した。2回の第1打席。遊撃へのボテボテのゴロ。「無心で走った」。100メートルの自己ベストが10秒9という俊足が、名手今宮の送球を、わずかに上回った。相手からリクエストを受けても、一塁塁上では「盗塁のことを考えていた」。それでも、審判団があらためてセーフのジャッジを下すと、ポンポンと手をたたいて喜んだ。

宮田 もう少し早く(福岡へ)来たかったですけど、初ヒットが福岡というのは、またなんか、父の力が働いたのかもしれない。

6月27日に自身のインスタグラムで「6月24日は大好きな父の命日でした」と記した。昨年8月に支配下選手となり、今季の目標の1つが「命日での福岡凱旋(がいせん)」だったという。2週間前もペイペイドームでのソフトバンク戦だったが、その日までに1軍昇格を果たせなかった。それでも、1週間前の1日に今季初昇格。この日は「9番左翼」でスタメン出場し、メモリアル安打を放った。「福岡で初ヒットを打てたのは、非常にうれしいです」。プロ野球選手になることを約束していた父も、きっと見守ってくれていたはずだ。

記念のボールは、審判団のリプレー検証中に新庄監督が“確保”してくれた。BIGBOSSは「とにかく、プロ初ヒットを打たせたいという気持ちがものすごくあった。セーフになってくれって思いが、セーフにさせてくれたんじゃないかな」と笑顔。宮田は、その記念球を「両親に渡そうと思います」。これからも、もっと活躍する姿を見せていく。【木下大輔】

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