おそらくは…これまで最も中村剛也内野手(38)にボールを投げてきた人だろう。武藤幸司打撃投手(49)。03年から20年間、投げ続けている。試合前練習も、武藤打撃投手の100キロ前後の緩い球を、中村がスタンドに気持ちよさそうに飛ばしている。

武藤打撃投手は言う。「(中村は)他の選手とは感覚が違うんです」。カブレラ、メヒア、山川ら球界を代表する大砲にも多く投げてきた。その3人に投げる時はパワーで球がつぶされるように飛ばされた。だが中村の場合は「ボールの下半分を狙い、上げていく。捉え方が上手」。力ではない。技に感心させられる。

“普通”のままである姿にも驚く。どんな球を投げて欲しいなどの要望を「中村選手からは1度も聞いたことがないんです」。実績とともに、変化しがちになる態度も何も変わらない。「接し方、言動も若い頃のまま。すごい」。プロ21年目になっても、ほんわかした「おかわり君」の愛称がよく似合う。

その中村は「打撃練習で速い球を打ちたくないのもあって。武藤さんは打ちやすい」。そうニヤリ笑って、感謝した。【上田悠太】

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