阪神4番の佐藤輝明内野手(23)が完全復活の3打点で2連勝&6日ぶりの3位再浮上を導いた。巨人との同率4位対決で、0-0の7回に均衡を破る先制のタイムリー。8回にも2点三塁打を放ち勝利を決定づけた。不振ともおさらば、3試合連続打点はプロ最長タイだ。コロナ陽性判定を受けていた阪神大山悠輔内野手(27)が、15日ぶりに復帰即5番で出場。頼れる先輩主砲とのコンビ再結成で反撃態勢が整ってきた。

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佐藤輝はその時をじっと待った。7回無死二塁。カウント1-1となった時点で、3安打に封じられていた山崎伊が緊急降板。2番手左腕今村の投球練習に、にらみを利かせた。

「途中でピッチャーが代わって集中力もアレなところですけど、切り替えてしっかり集中して、なんとか良い結果になってよかったです」

追い込まれてから左中間へ、しぶとく先制適時打。勝負の潮目が変わる瞬間を逃さなかった。「変化球に食らいついて、なんとか(遊撃の)頭を越えた」。開始約70分で5回を終えていた高速ゲームを動かした。

5日に大山がコロナ感染で離脱後、今試合前までチームは3勝9敗。自身も2度の15打席連続無安打を経験し4番から外れた。「コロナで選手がいない中、輝に対する負担はかかっていた」と矢野監督。15日ぶりに1軍合流し、即5番に入った先輩の存在は、どん底を味わった4番にとって何よりの朗報だった。

「後ろに大山さんがいるっていうのもすごい、気持ち的にも余裕を持って臨めるところもあります」

8回2死一、三塁では左腕クロールから中堅フェンス直撃の2点三塁打。暴投の間に4点目のホームも踏み勝負を決定づけた。2本の適時打で自己最長タイの3試合連続打点。6番降格を味わった16日から直近4試合は打率3割5分3厘、7打点と完全復活モードだ。「今はどんどんいい調子になってきている。(大山さんが)戻ってきたので、またこっから勝っていきたい」。大山復帰による4、5番タッグ再結成を追い風に、逆襲宣言も飛び出した。

全4得点を演出した主砲に導かれ、チームは8月2度目の連勝。連敗を8で止めた翌日、6日ぶりに3位に返り咲いた。指揮官は「気持ちを晴らすヒットになったと思うので、ここから乗っていってほしい」と期待。2年連続巨人戦勝ち越しに王手をかけ、「監督をやってからも巨人に対する意識は強い。伝統を受け継いで意識して戦っていくチームなんで、明日、勝ち越しを決められるように頑張ります」と必勝を誓った。ベスト布陣がそろいつつあり、4番も完全復活。虎が息を吹き返した。【中野椋】

▼佐藤輝が3打点で3試合連続打点をマークした。3試合連続は自身最長タイで、通算8度目。

▼佐藤輝が今季の巨人戦で12打点目。これは大山と並んでチームトップ。

▼阪神が2年連続の巨人戦勝ち越しに王手をかけた。今季の対戦成績は12勝7敗で、巨人との残り6戦中あと1勝で勝ち越しが決まる。巨人戦では2リーグ分立後11度しか勝ち越しはなく、負け越しが56度で相星が5度。昨年は13勝9敗3分けで勝ち越した。

▼阪神は今季16度目の完封勝ち。巨人戦は4度目で、東京ドームでは今季初となった。

▼阪神の3位浮上は8月13日以来。8連敗で2位から5位まで落ちたが、2連勝で6日ぶりにAクラスに入った。

○…中野は絶妙なドラッグバントからダメ押し劇をお膳立てした。1点リードの8回無死一塁。投手と一塁の間に強めのセーフティーバントを転がし、二塁内野安打で好機を拡大。チームはここから3得点をあげた。新型コロナウイルス感染から復帰した前日18日ヤクルト戦は好守に2安打1打点。2戦連続の奮闘に、矢野監督も「チャレンジというか、しっかりやってくれた。(ドラッグバントも)引き出しにしていってくれたら」と納得顔だった。