仙台の夜空に、2発の白球をぶっ放した。オリックス頓宮裕真捕手(25)が2点を追う2回無死一塁で同点6号2ラン、同点の3回2死一、二塁からは7号勝ち越し3ランを放った。自身初となる2打席連発に「(楽天辛島は)低めに集めて丁寧な投球をしてくる投手。ゴロにならないようにフライを打ちに行く意識で低めを狙えた」と自己最多5打点を冷静に分析した。

胸元に光る「R」のネックレスが頓宮を奮起させる。「R」の正体は1歳の愛娘、莉々愛ちゃんのイニシャルで「すごく元気に動き回るんですよ。めっちゃかわいい。頑張らんとなぁという気持ちにさせてくれますね」とパパは力を込める。最近では娘が「丸いものに興味を示すんです」と笑い、この日は白球を左翼席へ2発放り込んで見せた。

「僕にとって(娘は)天使。産んでくれた奥さんに感謝しかない」

これには岡山・備前市で実家が隣接し、幼少期から「お隣さん」だったエースの山本も「あの家族はめっちゃ仲が良い。すごく楽しそう」とほほ笑むほどだ。

頓宮の2発を含む先発全員安打でカード勝ち越しを決めた。2連勝で貯金6は今季最多を更新した。指揮を執り3勝2敗となった水本監督代行は「一切、気にしていない。とにかく(中嶋)監督につなぐために必死なわけですよ!」と笑顔で語気を強めた。

8月は12勝10敗1分けと貯金を2つ増やした。首位西武と1・5ゲーム差に詰め寄り、2位ソフトバンクとは1ゲーム差。勝負の9月へ-。残り22試合も白星を積み重ねる。【真柴健】

○…田嶋が7回118球、3失点で自身8連勝とし、自己最多の9勝目をつかんだ。8月9日楽天戦以来、中21日のマウンドに「不安もあった」と素直に吐露。「それを吹き飛ばしてくれたのが頓宮の1発。5打点してくれて、うれしかった」と同学年の頓宮に感謝した。これで楽天には21年4月27日から先発13試合で負けなしの7連勝で、今季屋外球場7戦7勝となった。

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