アレにFA補強はいらんよ-。阪神岡田彰布監督(64)が1日、今オフのFA補強封印を明言した。FA市場の目玉といえる西武森友哉捕手(27)がFA宣言を表明。この動きにも、指揮官は「そんなん、いらんよ」と眼中になし。この日は空路で、秋季キャンプの舞台となる高知入り。若虎を徹底的に鍛え、「アレ(=優勝)」を狙える戦力を整える。

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若虎を鍛える秋だ。岡田監督が指揮官として15年ぶりに秋季キャンプが行われる高知・安芸に向かった。西武森がFA宣言を表明。今オフ補強の目玉的存在だが、心を動かさなかった。「いや、全然考えてない。そんなん、いらんよ」と報道陣の問いかけを一蹴。「せっかくチーム若なってきたのに、年寄りいらんやろ。年寄りかどうかわからんけど」と笑い飛ばした。

41歳の糸井が今季限りで現役を引退。野手は31歳の梅野らが最年長。投手も32歳の二保が最年長と全選手が平成生まれと12球団の中でも若いチームになった。球団は大山や近本、佐藤輝らをドラフト1位で指名し、生え抜き中心の育成路線を継続している。岡田監督も就任時から十分に勝てる戦力がそろっていると考えている。今年のドラフト1位には即戦力の中大・森下翔太外野手(22)を指名。今オフは右の外野手を条件に助っ人を獲得する方針で、FA補強をせずとも十分に強力打線を編成できる見通しだ。

その上で、若虎の台頭を促す。高卒3年目の井上、同1年目の前川らも参加する。指揮官は「そのへんがレギュラーに食い込んできて欲しいよな」と期待する。「阪神だけやろ。レギュラーポジション取っている高校生いてないの。阪神だけやもんな。それはちょっと寂しいよな」。ヤクルト村上、巨人岡本和、広島小園、中日岡林ら各球団に高卒の若き主力がいる。阪神が常勝軍団になるためには、近本、大山、佐藤輝らに続く若い世代の成長を急務とした。

きょう初日を迎える秋季キャンプでは、練習試合や紅白戦はもちろん、実戦形式の練習を行う予定はない。基礎の反復練習を徹底。バットを振り込ませ、技術力を高める。「昔はな、体力強化という形でもあったけど。ほんと、技術をバンバンものにしていったら、ほんと、こう戦力にな」。FA争奪戦は眼中になし。助っ人補強と若手育成で、アレ奪回を狙う。【石橋隆雄】

◆「第1次岡田政権」オフの主な補強

▼03年オフ FA補強なし。新助っ人として投手のモレル、外野手のキンケード、トレードで近鉄から前川勝彦投手、オリックスから葛城育郎外野手らを獲得。

▼04年オフ FA補強なし。新助っ人として投手のブラウン、ダーウィン、外野手のスペンサー、広島を自由契約になったシーツらを獲得。

▼05年オフ FA補強なし。新助っ人として投手のオクスプリング、トレードでオリックスから相木崇投手らを獲得。

▼06年オフ FA補強なし。新助っ人として投手のボーグルソン、ジャン、トレードで日本ハムから正田樹投手らを獲得。

▼07年オフ FA宣言した広島新井貴浩を獲得。新助っ人として投手のアッチソン、外野手のフォード、育成で投手のオヘイダ、内野手のバルディリスを獲得。トレードで日本ハムから金村暁、オリックスから平野恵一らを獲得。