日本ハム上沢直之投手(28)が1日、札幌市内の球団事務所で契約更改交渉後、来オフにもポスティングシステムを利用してメジャーに挑戦する意向であることを明かした。

球団も容認する方向。今季は右足骨折の影響もあって8勝9敗と黒星先行も、2季連続で規定投球回をクリアし、2000万円増の年俸1億7000万円でサイン。リーグ優勝を狙う来季は、キャリアハイで夢への切符をつかむ。

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ひそかに、米球界挑戦の夢を膨らませていた。契約更改交渉後の記者会見が、終わりに近づいた時だった。上沢が突然、思いを打ち明けた。「さっき球団と話をさせてもらって。僕の意思として、アメリカで野球がしたいという話をさせていただきました」。ダルビッシュ(パドレス)、大谷(エンゼルス)、有原(レンジャーズFA)-。これまで「エース」と呼ばれた先人たちの歩みをなぞるように、夢への計画を口にした。

メジャーへの思いが芽吹いたのは、18年11月に侍ジャパンのメンバーとして臨んだ日米野球がきっかけだった。後輩の大谷が海の向こうで成功する一方、先輩の有原は苦戦。「(日本の野球と)何が違うんだろう。何も分からず人生が終わるって、人生を無駄にした気持ちになると思う」。「野球を知りたい」という純粋な思いが決意を強くした。

今季は右足骨折の影響もあり8勝9敗と黒星先行も、2年連続で規定投球回をクリア。エースとして優勝を目指す来季は「背番号くらい勝たないと」と、自己最多の15勝を目標に据えた。「野球人として、このままでは終わってしまう」と危機感を募らせ、今月上旬には単身渡米。シアトルのトレーニング施設「ドライブライン」でデータを収集し、さらなる飛躍のヒントを探る予定だ。

吉村球団本部長は「過去に認めている選手については、圧倒的な成績を残していたり、リーグ優勝に貢献している。そういう意味で、来季の成績が非常に重要だと伝えた」と説明し、条件付きながらポスティング移籍を認める考えを示した。上沢自身も「納得いかない成績だったら(メジャーで)取ってくれる球団もないと思うので。来年1年勝負してダメだったらスパッと諦める」と、キッパリ。「人生を懸けて戦うので、応援して下さい」。夢への挑戦が、始まる。【中島宙恵】

◆ポスティングシステム 海外FA権取得前に大リーグへ移籍できる制度。日本野球機構(NPB)を通じて大リーグ機構(MLB)に契約可能選手として通知される。現在は入札による独占交渉ではなく、譲渡金支払い意思のある全球団と交渉できる。日本球団への譲渡金は、選手の契約内容に応じて決まる。交渉不成立で残留するケースもある。

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