“強肩で走れて外野も守れる捕手”が、球団39年ぶりの快挙に挑む。日本ハム田宮裕涼捕手(22)が10日、来季の目標として「2桁盗塁」を掲げた。球団では捕手登録選手の10盗塁以上は84年大宮龍男が最後。パ・リーグでも00年城島健司(ダイエー)以来、達成者がいない高い壁をクリアするため、今オフは走り込んで体力強化中。外野手としても出場機会を伺いながら、来季の“スピード出世”を狙う。

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田宮は「1軍で盗塁2桁、走りたい」と、明快に言った。50メートル走は6秒台前半。“走れる捕手”ならではの目標を掲げた。攻守で負担の大きい捕手にとって、2桁盗塁は高い壁。球団では東映時代の58年山本と77年加藤の2人が最多のシーズン17盗塁。直近でも84年大宮の11盗塁を最後に2桁盗塁捕手はいない。球界全体では19年梅野(阪神)が14盗塁を記録したが、パ・リーグでは00年城島(ダイエー)の10盗塁が最後だ。

田宮なら軽々と乗り越えられる可能性を秘める。プロ通算では1盗塁だが、イースタン・リーグでは19年に11盗塁、21年に14盗塁を記録。きっかけさえつかめば、スピードスターとなれるポテンシャルを持つ。

そのためにも、なりふり構わずに出場機会を伺う。今季挑戦した外野守備も「もちろん準備しようと思っています」。外野用グラブは背番号64の“先輩”で昨オフに現役引退した谷口氏(現球団職員)から譲り受けたものを継続使用。そのグラブで外野を守った3月2日のヤクルトとのオープン戦(札幌ドーム)では強肩も生かして補殺も記録。「いろんな武器を増やしたい」と、来季も“強肩で走れて外野も守れる捕手”として勝負する。

この日は千葉・鎌ケ谷の球団施設で自主トレ。「スタミナ強化です」と、一塁ベンチ付近から三塁ベンチ付近まで何度も往復した。今季は1軍で自己最多の14試合出場も「1軍にいるだけでも疲れていた。そういう体力も付けないと」。今オフは走りまくって肉体を追い込んでいる。シュアな打撃も含め、いろんな魅力を発揮して「チームのピースになれるように」。唯一無二キャラクターを前面に押し出し、新球場で駆け回る。【木下大輔】

 

◆捕手と盗塁 シーズン2桁盗塁は、最近では19年阪神梅野の14個。セ・リーグでは09年に10盗塁の阪神狩野以来の2桁だった。パ・リーグでは近年、19年ソフトバンク甲斐、10年楽天嶋が各9盗塁をマークしているが、2桁は00年ダイエー城島までさかのぼる。日本ハムの直近では、大宮龍男がシーズン4度(79、81、83、84年)の2桁盗塁を記録。シーズン最多は52年大洋荒川の32盗塁。

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