ヤクルト村上宗隆内野手(22)が28日、熊本県庁で行われた熊本県民栄誉賞の授賞式に出席した。史上最年少で3冠王を獲得し、日本選手最多となるシーズン56本塁打を放ったことなどが評価され蒲島郁夫知事から史上10組目となる表彰を受けた。会見では昨年に続き、県内に新球場を整備するよう要望。実現すればプロ野球の公式戦で自身もプレーすることを熱望した。

    ◇    ◇    ◇

熊本でプロ野球開催を-。3冠王、56本塁打など歴史を塗り替え“神様”の領域に到達しても、長年訴え続けてきた地元への思いは変わらなかった。村上は「プロ野球が開催できる新球場やボールパークをつくっていただきたい」と熱弁した。

熊本市内にある1960年(昭35)開場のリブワーク藤崎台球場は老朽化が進む。NPB公式戦は19年以来開かれていない。「とにかく熊本でプロ野球の試合がしたい。ただそれだけです」。新人王を獲得し、19年に県庁を訪れた時から言い続ける願い。完璧な球場でなくてもいい。「ある程度、設備が整い気持ちよく野球ができる環境があればプロ野球のチームも試合に来る。僕も球団にお願いする」と切に訴えた。

野球人口の減少という課題が常に頭にある。地元での野球教室開催について意見を聞かれたが「なんぼ教室を開いても野球をしている子たちが来るわけです」と、課題解決に直結しないと指摘。新たに足を踏み入れるきっかけとして、子どもたちの心が躍るような新球場の整備が必要だと主張した。その上で「僕は要望しか出来ないのであとは県民の皆さん、県知事の考え。そこに協力できることがあれば野球教室もやりたい。野球人口増加に貢献できるように頑張りたい」と思いがあふれた。

熊本県民栄誉賞の受賞の席だからこそ説得力が増す。同賞第1号となった84年ロサンゼルス五輪柔道金メダリストで現日本オリンピック委員会(JOC)会長の山下泰裕氏から数え、10組目の受賞で史上最年少。「熊本で育ってプロに入って、小さい子どもたちにも夢を与えたいと思ってやってきた。熊本の人たちに生で野球をお見せしたい」と真っすぐな目で語った。【三須一紀】

【関連記事】ヤクルトニュース一覧