折り返し地点を過ぎたあたりだろうか。西武牧野翔矢捕手(21)が10日、埼玉・所沢の球団施設で自主トレ。中熊大智捕手(26)とともに40メートルのキャッチボールも行った。

「昨日も40メートル投げたんですけど、今日は同じ40メートルでも投げやすかったですね。力の入れ方も昨日よりは全然良かったので。これを続けられればと思います」

表情は明るい。右肘の、長いリハビリの途中にいることを忘れさせる。

「基本的には日常生活とかは全く問題ないんですけど。まだまだ力の配分というのが難しいですし、やっぱり、痛さはないですけど、違和感とかはまだあるんで」

昨年6月13日に右肘のトミー・ジョン手術を受けた。実戦復帰は1年程度を要する見込み-。球団からはそう発表された。18年ドラフト5位で遊学館(石川)から入団。プロ4年目の昨季は春先にプロ初出場、初安打、初打点と勢いに乗っていた。しかし。

「もともと痛いなというのはあったんですけど…靱帯(じんたい)だけはやめてほしいなという感じでした。ただ、手術しないと治らないというのも聞いていたので。治らずに何カ月もムダにするなら思い切って、と僕は決めました」

手術直後は「日常生活から何から何までできなかった。曲げ伸ばしというところも苦労したので」と、そんな状態を支えてくれたトレーナーたちに感謝する。ただ、ほぼ1年間を費やすことに後悔はない。「今までコーチの方々にいろいろ教えてもらって、それもしっかり恩返ししないとダメだと思うので。捕手としてやっていきたいです」。だからメスを決めた。

長く1軍正捕手の座を務めた森が退団した。現時点ではまだ確固たる存在はおらず、復帰後の牧野には松井新監督ら首脳陣も期待を寄せることになる。

「監督から(の言葉)の記事とかも見たりして。名前が出ることはすごくいいことだと思うので。今年中に支配下を勝ち取って、そこで1軍に呼ばれるのがベスト。1軍を目標にしないと、支配下になっても『なっただけ』ってなるので。1軍目指してやっていきたいです」

徐々に距離も伸ばして本来の自分へ戻す、あと半年ほど。「投げれないのに打ってんのか!?」。スタッフにいじられつつ、打撃練習も快調だ。【金子真仁】

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