よっさん、アレにお墨付き！　85年阪神日本一監督の吉田義男氏（89＝日刊スポーツ客員評論家）が11日、師弟関係にある岡田彰布新監督（65）を語り尽くした。球団史上唯一の日本一に導いたレジェンドが、愛弟子について言及するのは就任後初めて。「常勝軍団」「後継者育成」をテーマとし、「守りの野球」に賛同した上で、キーマンには中野を指名。大山、佐藤輝らに期待するなど、18年ぶりのセ界制覇、38年ぶりの日本一に期待した。【聞き手＝寺尾博和編集委員】

 

－岡田阪神の盛り上がりが想像以上です。

吉田氏　監督としての岡田のテーマは2つだと思うんです。1つは「常勝チームを築く」、もう1つは「後継者というか、次の指導者を育てる」ことです。

－スローガンは「A.R.E.」。

吉田氏　「R」のリスペクトには、先人を敬うという意味が込められたようですね。誰が考えたのか知りませんが、岡田も何かを感じているのでしょう。

－巨人との違いに関しては「阪神には歴史はあるが、伝統がない」というOBもいます。

吉田氏　阪神にリスペクトがないというわけではないでしょうが…。そのあたりも岡田は生え抜きとして分かっているでしょう。

－阪神、オリックスで指揮をとりました。11年ぶりの現場復帰。

吉田氏　岡田しかいないでしょ。誰かいますか？　それか僕がフロントにいれば外国人監督を候補に挙げたでしょうね。

－次期監督人選の時期になると「岡田はどうなんですか？」といつも繰り返していました。さまざまな状況を考えると、今回がラストチャンスでした。

吉田氏　前回監督だった08年は燃え尽きることなく突然辞めてしまいました。巨人に13ゲームをひっくり返されて。僕は「絶対辞めるな」と強く言ったつもりです。それをプライドが傷ついたぐらいで自分から辞めた。うぬぼれに過ぎません。だからもう1回やってほしいと思っていました。

－オリックス監督を退任後は阪神監督候補として浮上しては消えた。

吉田氏　オリックスから阪神に返す時も、監督の仰木（彬）は「いつでも返しますよ」と言ってくれていました。でも僕が久万（俊二郎）オーナーに「岡田を阪神の現場に返してほしい」と陳情してもはね返されました。

－それは吉田さんが「監督」として認めているということですか。巨人V9監督の川上哲治氏は「監督とは人間の器」と語っています。

吉田氏　監督としての器は感じます。早大でキャプテンだったし、阪神で選手会長、労組会長なども務めています。人の気持ちも分かるはずです。前と比べると、人から言われたことを1回胸にのみ込んでモノを言うようになりましたな。（続く）

◆85年の阪神　吉田監督が2度目の就任。岡田を二塁、真弓を右翼、2年目の中西を抑えに配する改革を断行。開幕広島戦こそサヨナラ負けしたが、4月を9勝3敗1分けの1位で滑り出す。同月17日巨人戦（甲子園）ではバース、掛布、岡田がバックスクリーンに3者連続本塁打。その後、前年の覇者広島とのつばぜり合いを展開。8月27日の直接対決に勝ち首位に立つと独走態勢に。10月16日ヤクルト戦（神宮）で引き分け、21年ぶりのリーグ優勝を果たした。日本シリーズでも西武を4勝2敗で下し、初の日本一に輝いた。