「赤星塾」開講! 阪神OBの赤星憲広氏(46)が4日、臨時コーチとして沖縄・宜野座の1軍キャンプで直接指導を行った。12年の春季キャンプ以来、11年ぶりとなる虎の臨時コーチの初日。岡田彰布監督(65)の第一次政権で05年リーグ制覇に貢献したレッドスターが「<1>オーバーラン」「<2>内野安打打法」「<3>足からの帰塁」と、走塁の極意3箇条を伝授した。

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午前10時前、タイガースのジャージーに身を包んだ赤星氏が、円陣で声を張り上げた。「僕自身も気持ちが入っていますので、覚悟しておいてください!」。言葉通り、宜野座のグラウンドで通算381盗塁のエキスを注入し続けた。

テーマは大きく分けて3つだ。

(1)オーバーラン 午前のベースランニングでは助っ人を含めた野手全員に、一塁を回った後のオーバーランの重要性を説いた。「落合監督のドラゴンズは『ワンヒットで二塁に行ってやろう』とオーバーランがでかくて、守っていて嫌だった」。手本はセ王者に君臨したかつてのライバル。「たとえば左前打と右前打でオーバーランは違う。僕はレフト前なら(一、二塁間の)半分以上行って、そのまま行ったりしていた」。次の塁を狙う貪欲な姿勢が好機を生む。

(2)内野安打打法 ベースランニングの後は近本、中野、島田、植田、小幡と左打者を集めた。トスを打ち返して一塁へダッシュ。三遊間へ「内野安打狙い」のフォームで駆けると、0・3から0・4秒程度、一塁到達タイムが速くなった。これは岡田監督のアイデアだ。「ちょんと走り打ちでセーフやったらチームにもプラス」と指揮官。バットを振り切り安打を量産する近本や中野に、状況に応じた打撃スタイルを求めた。赤星氏も「近本も中野も、もうツーランク上に行かないといけない」。さらなる高みへ、引き出しの1つにすることを願う。

(3)足からの帰塁 午後からは近本、中野、島田、植田、熊谷と俊足の選手を一塁ベースに招集。岡田監督も熱視線を送る中、足からの帰塁を繰り返した。ヘッドスライディングとは違い、ケガのリスクが減る。送球ミスがあれば素早く二塁を狙える。赤星氏は「監督も『足から戻れるなら足から』と話していた」と説明。帰塁時の歩数を合わせるため、リード幅も少し広がるメリットも生まれた。

指導は残り2日。「選手はすごく貪欲。監督もずっと『アレだ』と言っているし、選手もそういう気持ちで臨んでくれる。自分のできることをやりたい」と赤星氏。レッドスター直伝の足の極意で、虎はさらに加速する。【中野椋】

◆赤星憲広(あかほし・のりひろ)1976年(昭51)4月10日生まれ、愛知県出身。大府-亜大-JR東日本を経て、00年ドラフト4位で阪神入団。1年目の01年に39盗塁でタイトルを獲得し、新人王を受賞。以後5年連続盗塁王となり、03、05年の優勝に貢献した。09年限りで引退。通算1127試合、1276安打、215打点、381盗塁(球団最多、プロ野球9位)、打率2割9分5厘。現役時は170センチ、66キロ。右投げ左打ち。

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