背番号125の西武古市尊捕手(20)がオープン戦ながら1軍で初安打を放った。

8回無死一塁、代打で登場し、中日祖父江のスライダーに食らいつき、右翼線への二塁打とした。「うれしいですし、ホッとしました」とこぼれ出た。

南郷キャンプの最終クールから1軍に合流した。高知から福岡経由で宮崎入り。いきなり始まる実戦の日々に「そこは不安です」とも正直に口にしていた。

それでも攻守に落ち着いたプレーが多かった。「いい当たりとかでも抜けなかったりが続いて、早く1本出したいなというふうには思っていたので」。確かな1歩になった。

独立リーグの徳島インディゴソックスから育成契約で入団し、2年目を迎える。初めての1軍。5日のDeNA戦(横浜)では平良を、この日は開幕投手高橋と、試合途中でバッテリーを組んだ。強烈な直球や変化球。それと。

「レベルの高い配球というか、今まで僕の頭の中になかった配球があったので、そこは僕が引っ張られていったという感じです」

悔やむことはあったにしても、試合終盤にエース格と組んだことは、支配下登録を目指す古市にとって大きな財産になる。

この日の安打には松井稼頭央監督(47)もうれしそうに目を細めた。

「本人が一番うれしいんじゃないでしょうかね。安打もなかなか出てない中でも、この前の横浜スタジアムで走者一塁で『バントしたいか打ちたいか、どっちだ?』と聞いたら『打ちたいです』と。『じゃ分かった、打ってこい』と」

要所でしっかり爪痕を残すハートの強さで、首脳陣たちに存在を示した。

今後は2軍戦での出場機会も増える見込みだ。古市は「まだまだこれじゃ支配下になれない」と胸の内を明かす。ポジションは1つ。投手や内外野手以上に、育成捕手の支配下契約はハードルが高い。それでも支配下ではなく正捕手を目指し、励む。【金子真仁】