西武青山美夏人投手(22)が堂々と9回を抑え、松井稼頭央監督(47)の記念すべき指揮官1勝目に大きく貢献した。

ヒーローインタビューを終え、今年から復活したビクトリーロードの階段を上る。「初めてのヒーローインタビューで、今年(チームで)初めてのが自分だったので。初めてづくしで。変な感覚っていうか。プロになったんだなって思いました」と照れた。

3月31日の開幕戦、1点リードの9回のマウンドに抜てきされた。2死後、オリックス森に同点弾を浴び、チームはその後延長戦で敗れた。

その夜よりも、1日の夜の方が考え込んだ。

「昨日の夜のほうがなんか、それで負けが続いちゃったので、昨日の夜のほうが寝られなかったです」

託された仕事の責任の大きさをあらためて実感する夜だった。ただ、1日は笑顔もあった。

連敗した試合後、ファンとのエアハイタッチイベントに参加。約500人と交流した。「抑え、頼むぞ」「応援してます」と多くの言葉が。「勇気をもらった気がします」。

だから、ビビることなんてない。僅差で進んだこの日の開幕3戦目。「大事な試合、燃えてました」。ブルペンで待機していると8回、先頭のマキノンが四球を選んだ。

「ランナーが8回に出た瞬間にもう(勝ち越しを)信じてたので。『今日、絶対行くぞ』というのは心で思っていました」

3点差のマウンドには、開幕戦以上の拍手と歓声で送り出された。ありあまる勇気を胸に投げ込む。横浜隼人高の先輩、宗にいきなり安打されるなどでピンチを迎えたが「ここで折れたら、この前の負けが生きてこない。そこはもう、強気で攻めました」。

あどけなさが残る表情から投げ込むボールは、数字以上に力強い。亜大4年秋、国際大会の疲労から球威を落としたことで4位指名まで残っていたが、当初は“ドラ1”の12人に名前が挙がった逸材。「このポジションを任された以上は、1年目とか関係なく、チームに貢献することだけを考えてやってます」。

入団早々、いきなりの試練が待っていたフレッシュマンは、すぐさま頼もしくやり返した。【金子真仁】

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