ロッテの山口航輝内野手(22)が一塁塁上でレフトスタンドのファンから送られた「ヤマグチ」コールに右手を上げ、少しだけ安堵(あんど)の表情を浮かべた。

初戦、2戦目と「3番左翼」で先発出場したが、2戦合計で7打数無安打6三振。スタメンを大幅に入れ替えた中、「6番一塁」で起用された5回1死、1ボールからソフトバンク東浜が投じた141キロの低めのカットボールに体勢を崩さず、中前にようやく初安打を放った。

2-4とした6回1死一、二塁では1ボール2ストライクと追い込まれたが137キロのスライダーを振り抜き、1点差に迫る左中間への適時二塁打。

「何とかしたいという気負いが力みにつながっていた。打席に立って右も左も分からなくなっていたので、吉井監督に『とにかく思いっきりいってくれ』と言ってもらえたので、冷静に気負わずにいけました。ヒットもタイムリーも出て少しホッとしました」。

初打点には二塁塁上でガッツポーズ。「試合前のバッティング練習から振りが大きくなっていたので、小さくコンパクトにいこうと思ったので、それが良い結果につながったと思います」と分析した。

今季の対外試合で7本塁打を放って主砲としての期待が集まっていたが、オープン戦終盤から結果が出ずに苦しんでいた。前日1日の試合後は開幕から2戦連続完封負けの責任を感じてベンチから立ち上がれず、悔しさで目を潤ませた。自身としては3月21日の広島とのオープン戦以来、21打席ぶりの快音となったが、「勝たないと意味がない。監督や先輩方にやりやすい環境をつくってもらっているので、背負いすぎは良くないかもしれないですけれど、チームを引っ張っていけるように頑張りたい」。4日のホーム開幕での今季初勝利に向けて前を向いた。

吉井監督は球場入りした試合前、山口と会話したことを明かした。「かなり自分がチームを引っ張らなきゃという思いが強かったみたいなので、『お前はまだ見習いだから思い切っていけ』と言ったんですけれど、それが良かったかどうかは分からないですが、本人もいろいろ考えていると思いますけれど、自分の力で壁を乗り越えていってほしいと思います」。打撃指導はコーチ陣に任せているが、「ちょっとでも気持ちを楽にさせるのが私の仕事かな」と、山口の2安打1打点の結果に少しだけ表情を緩めた。【鎌田直秀】

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