日本ハムから海外フリーエージェント(FA)権を行使して加入したソフトバンク近藤健介外野手(29)が、移籍1号となる決勝2ランを放った。0-0の6回に均衡を破る1発を放ち、チームを開幕4連勝に導いた。藤本博史監督(59)が父の通夜に参列するため不在という状況での大きな1勝。昨季までの2年間、オリックス戦、特に敵地の京セラドーム大阪では大きく負け越していたが「鬼門」知らずの新戦力が、悪夢を振り払った。

チームにとっての“鬼門”も、この男には関係なかった。息詰まる投手戦。両チーム無得点で迎えた6回1死二塁で、近藤は1ボールからの2球目、甘く入ったカットボールを逃さなかった。わずかに歯を食いしばり、力を込めたスイングでとらえた打球は美しいアーチを描いて右中間席に飛び込んだ。

先制で決勝の2ラン。移籍1号が値千金の1発になり「なんとか甘い球を1球で仕留められて良かった。1号というよりも、緊迫した場面での先制だったので。そこが良かったと思います」と白い歯を見せながら、クールに振り返った。

その後の6回守備では、左翼ファウルゾーンへの飛球を追いかけ、フェンスに頭部をぶつけ、倒れ込む場面があった。コーチやトレーナーが集まり騒然となったが、近藤は立ち上がって再び左翼の守備位置に戻るガッツを見せた。7回守備から大事を取ってベンチに下がったが、試合後は「今のところは問題ない」とケロリ。5日の同戦にも出場する意気込みだ。

ソフトバンクは昨年、オリックスと勝率差で並びながら、直接対決で10勝15敗と負け越し、リーグ優勝をさらわれた。特に、敵地の京セラドーム大阪では21年から2年連続でカード勝ち越しがなく、2年間で5勝21敗1分けと大きく負け越していた(主催試合含む)。

日本ハム時代の近藤は、同球場で通算打率3割1分をマーク。しかも昨年は打率3割3分3厘、一昨年は5割と、2年連続リーグ王者を相手に堂々と渡り合ってきた。チームのアレルギーを払うような一打で、23年初対決で大きな1勝をもたらした。

藤本監督が、前日3日に亡くなった父の通夜に参列するため不在だった緊急事態も乗り越え、2年連続の開幕4連勝をつかんだ。【山本大地】

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