オリックスにシン勝ち投手が誕生した。2020年ドラフト1位の山下舜平大投手(20)が、プロ2度目の登板となった楽天戦(楽天モバイルパーク)で、5回2安打10奪三振無失点。プロ入り初勝利を挙げた。開幕投手に抜てきされた3月31日西武戦から中10日で、チームの期待に見事に応えた。

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えげつない球を投げ込むマウンドとは対照的。勝利球をもらった山下の顔が20歳に戻った。「本当にうれしい。やってきたことがいい方向に行っているのかな」と、ほおを緩めた。

190センチの長身から快速球を投げ下ろした。5回2死一塁。154キロで小深田のバットに空を切らせた。10個目の三振。最速157キロ、球速表示のあった直球58球は平均154キロ。則本との投げ合いを制した。

プロ初登板が開幕投手の大役も涼しい顔。6回途中1失点に中嶋監督からねぎらわれたが「あのぐらいで(褒め言葉を)言う監督じゃないでしょう」。満足はしていなかった。試合後すぐビデオを見返し、フォークの修正に着手。3回に西川、小深田、4回は辰己をフォークで空振り三振。鋭いカーブも効果的だった。

立ち姿やフォームはエンゼルス大谷にそっくり。だが大好きなのはパドレス・ダルビッシュ。厳しい食トレなど大きな影響を受け、実践している。もう1人、名前を挙げるのが今季開幕戦で169キロを計測したレッズの怪物ハンター・グリーンだ。その動画を見ては大きな夢を膨らませる。

大谷やダルビッシュも取り入れるバックスイングの小さい「ショートアーム」にしたのは昨年途中。背筋痛などで4カ月も投げられなかった時期に大胆に変えた。「今思えば、いい期間を過ごすことができた」。大輪の花を咲かせる日をじっと待った。「先を見すぎず次の試合、次の試合です。まだまだできると思う。どんどん(自分を)超えていければ」。まだ20歳。今後どんな投手になるのか、スター候補生が記念の1歩を踏み出した。【柏原誠】

◆山下舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日生まれ、福岡県出身。福岡大大濠では甲子園出場なし。20年ドラフト1位でオリックス入団。昨季はウエスタン・リーグで8試合2勝2敗、防御率3・31。1軍初登板となった前回登板の3月31日西武戦は、5回1/3を奪三振7、1失点で勝敗なしだった。名前の由来は20世紀前半の経済学者ヨーゼフ・シュンぺーター。190センチ、98キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸700万円。

▼オリックス中嶋監督(初勝利の山下に)「1試合目も勝ちをつけてあげたかったですけど、つけてあげられなかった。何とか勝ちがついてよかったです」