ラオウが乗ってきた。オリックス杉本裕太郎外野手(32)が2試合連発で今季4本塁打とし、リーグ単独トップに立った。チームも敵地で楽天に2連勝し、貯金1とした。

「アーチスト」らしい弾道だった。初回、太田の1号2ランで先制後、杉本もバックスクリーン右に高々とソロを打ち込んだ。

「感触もよかったし、太田がいい打撃をしていたので自分も打ててよかった。流れに乗っていけました」。楽天早川の甘い初球の直球を振りにいった。前日の1発も、第1ストライクを逃さなかった。

21年の本塁打王が早くも4号のハイペース。それでも調子は「普通ですね」と淡々。「たまたま本塁打が出ている。まだまだ課題がある。今は結果が出ているので、空振りでも凡打しても切り替えられています。打順関係なく、自分の仕事をしっかりしたいです」と緩みはない。

今年1月、打撃を学ぶために、楽天浅村の沖縄自主トレへの同行を志願した。求めている逆方向への長打の秘訣(ひけつ)などを、貪欲に吸収した。その浅村の前での、連夜の活躍だった。

チームにとって、杉本のバットは大きい。昨年は杉本の不調もあってチーム本塁打がリーグ最少の89本だった。さらに今季は吉田がレッドソックス移籍で抜けた。打順の並びも試行錯誤を続ける中嶋監督は「そんなに連打が続くわけじゃない。ここという時に打ってくれたらと思うし、長打が出るともちろん楽になりますよね」と期待を高めた。【柏原誠】

○…田嶋が7回途中1失点で今季初勝利を挙げた。要所で失投しなかった。楽天には8連勝、屋外球場では10連勝と相性の良さは健在。「シンプルに打者と勝負できました。1勝つくのとつかないのでは気持ちの面で違うし、ひとまず安心はしています。初回に3点もらってめちゃめちゃ楽になったので、野手の人に感謝ですね」と満足そうだった。