オリックスのフランク・シュウィンデル内野手(30)が会心のデビューを飾った。同点の8回1死二塁で中前に決勝打。いきなりの3安打で救世主になった。

助言は現実になった。「フォークの準備をした方がいい」-。昨年、カブスでともに主軸を張った鈴木誠也から日本行きの際に伝えられた。2球で追い込まれ「西口投手はフォークがあると知っていた。来るかもと頭に入っていた」。バウンドしそうな外角低めのフォークに手を伸ばし、しぶとく中前に運んだ。

絶対的な存在だったレッドソックス吉田の穴を埋める候補として、来日。だが3月中旬に腰痛を発症。日常生活にも支障があった。前向きな男が、異国のトレーナー室にこもる日々に悶々(もんもん)とした。「悔しかった。早く1軍に、という一心だった」。家族と大阪城を訪れるなど、気晴らしもしながら耐えた。4月に入って、やっと本格的な練習ができるまでに回復。この日、初めて出場選手登録され「5番DH」で先発。4回の第2打席で鋭い左前打を放ち、一気に乗った。

21年に64試合で14本塁打、打率3割2分6厘とブレーク。オリックスはその2~3年前から「日本向き」と目をつけていた意中のスラッガー。中嶋監督は「中心でしっかりかえしてくれる選手がいれば、つながりも変わってくる。気楽に打てる選手も出てくる。相乗効果として考えています」とにんまり。V3のカギを握る男は「ここまでいい1日になるとは。こういう日が1日でも多く出てくるようにしたいね」と腕まくりした。【柏原誠】

◆フランク・シュウィンデル 1992年6月29日、米ニュージャージー州生まれ。セントジョーンズ大から13年ドラフト18巡目でロイヤルズ入り。19年メジャーデビュー。21年途中にカブスに移籍し年間14本塁打とブレークした。内野手。メジャー通算145試合、22本塁打、79打点、打率2割6分9厘。185センチ、100キロ。右投げ右打ち。

【関連記事】オリックスニュース一覧