ロッテ山口航輝外野手(22)が22打席ぶりとなる1発を放った。

4-6の7回1死一、二塁。バットを少し短く持ち、阪神浜地の150キロ直球を振り抜いた左中間への一時逆転3ラン。甲子園で大歓声を続ける阪神ファンを沈黙させた。「チームに迷惑をかけていたので、なんとかしたいと思った。真っすぐを狙っていました。(秋田・明桜)高校時代にも出場した特別感のある甲子園で打つのは、特別な1本になると思う。それで勝てたら良かったですけれど、また明日からチャンスでまわってきたらホームランの数というより打点を稼げるようにしたい」。着弾後は左翼席後方のロッテファンの大歓声を浴びた。ホームイン後もベンチ前でも仲間から手荒いハイタッチの祝福。それでも喜びと興奮が収まらず、ベンチ内でもバットを右手に持ったままガッツポーズを繰り返した。

5回の打席でも一時逆転となる右前2点適時打を放った。「なんとかランナーをかえそうと食らいついていきました。いいところに飛んでくれて良かったです」。詰まりながらもしぶとく運んだ一打が「ラッキーなヒットの運を使って」と、不振に悩んでいた心を少し解消してくれていた。

左太もも裏痛のリハビリ後の2軍では、春季キャンプ中にも寄り添ってくれていたサブロー2軍監督のひと言が背中を押してくれた。「サブローさんが『振り回せ』って言ってくれていたんです。なんか気持ちも少し楽になりました。ボールを見すぎていたなあって、自分を再確認出来た言葉でした。1度リセット出来ました」。膨らませた風船をくわえながら打撃練習を行うなどの技術的なルーティンもやめ、新たな気持ちで再発進している。

1軍復帰初戦の5月28日ソフトバンク戦初打席で中前安打を放ち、2戦目の同30日巨人戦では中越えに復帰後初本塁打。以降は22打席で柵越えはなく、7三振を喫し、再び悩みかけていた中での一発。2安打5打点とチームを救った。「1つのきっかけになる交流戦にしたいです」。若き長距離砲の完全復活は間近だ。【鎌田直秀】

 

▽ロッテ吉井監督(5時間7分の激闘に)「山口のホームランもポテンヒットの打点も大きかった。自信にしてほしい。勝てれば良かったけれど、若いリリーバーが頑張ってくれた」

▽ロッテ小島(浦和学院2年夏以来3586日ぶり甲子園マウンドで5回6失点)「ホームランの球も失投ではなかったですが、相手の方が上手でした。悔しいです」

【動画】ロッテ山口航輝の豪快3ラン

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