今季、日本ハムに加入したアリエル・マルティネス捕手(27)が、「日本生命セ・パ交流戦」中日戦で、昨季まで在籍した古巣相手に逆転3ランを放った。2点を追う6回1死一、二塁で、右翼ポール際へ“恩返し弾”を突き刺した。来日6年目でキャリアハイを更新。「素晴らしかった」と新庄剛志監督(51)絶賛の1発で、2カードぶりのカード勝ち越しを決めた。

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マルティネスが、慣れ親しんだ名古屋の地で強烈な“恩返し弾”を古巣に見舞った。2点を追う6回1死一、二塁。2球で追い込まれてからの3球目だ。中日藤嶋のストライクゾーンに入った“つり球”を、腰をひねるように回転させて捉え、右翼へ自己最多の9号逆転3ラン。昨季まで何度もバッテリーを組んだ相手だからこそ「どういう軌道の球なのか、よく覚えている」と打席でも余裕があった。

新庄監督は「あっち向いてホイ打法…に見えないですか? でも、しっかり右に引っ張れているんですよね。素晴らしかった」と逆方向への1発を大絶賛した。

本塁打賞として「すしざんまい」の食事券までゲットしたが、ヒーローの表情は変わらない。いつもなら、ベンチに戻ると大きな「ハート」を頭上に作りチームメートと喜び合うのに、そのパフォーマンスがないのだ。実はこのポーズ、中日ファンの助言で誕生した。元々、両手で小さくハートを作っていたが「ヤクルトのオスナに奪われてしまって(笑い)」。どうしようか考えていた時に、アイデアをもらったそう。「ファイターズに移籍してからも、ドラゴンズファンから度々メッセージを頂くことがあった。そういう人たちの前で、打った後に『Yeah!』という(はしゃぐ)ポーズはしたくない。自分なりの敬意の払い方」。18年に背番号「210」で始まった日本でのキャリア。育ててくれた古巣への気遣いだった。

前日16日には「調子いいね」と声をかけてくれた中日立浪監督に「これから、もっと打ちます」と宣言したばかり。「居心地はやっぱりいい。たびたび、この球場が恋しいと思ったこともあります」と懐かしみながら「これからもトレーニングに励んで、チームに貢献したい」。久々の“里帰り”で、心はさらに奮い立った。【中島宙恵】

【動画】古巣撃ちでキャリアハイ!日本ハム・マルティネス逆転3ラン

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