ヒーローインタビューを終え、西武平良海馬投手(23)はクールビズ姿で報道陣の前に姿を見せた。

「バスが5分後に出るので、少しだけでいいですか?」

そう断ってから、丁寧に応じ出す。初回、味方失策もあっていきなり3失点。7連敗の最中、重いムードがこの日も西武を覆う。

そこでスイッチをしっかり入れる。「自分の仕事は変わらないので。(失点は)運がないなって少し思っていたんですけど、点が徐々に入って自分の状態も上がってきました」。

5回に味方が勝ち越し、勝利投手の権利はついた。だが6回で100球を超えても、平良は一段落しない。「もう少し行きたいです」。首脳陣に志願し、7回のマウンドへ。四球こそ出したものの、3奪三振で封じた。1番菊池に投じたこの日ラスト127球目が、この日最速の154キロだった。

暑い広島3連戦だった。「いやぁ、めちゃくちゃ暑いです」とこぼした。沖縄・石垣島出身であれ、暑いものは暑い。少年時代、野球以外は室内でゲームをすることも多かったという。球数はじめ、しっかり自己管理しながら試合を進めていく。それでも、7回表は投げたかった。チームの連敗脱出がかかっていた。

「(先発投手)しかできないことですし、これだけ負けていると(昨季までの中継ぎの)僕だったら投げる場面なかったと思うので。本当にやってよかったと思います」

先発転向を志願し、実際に先発投手としてチームを救う。志願の「プラス1イニング」で、実は本人も知らぬままに規定投球回に到達。防御率はリーグ1位になった。

5勝目を土産に、マツダスタジアムのそばを走る東海道・山陽新幹線に乗り込み、新婚ほやほやの家庭へ戻る。広島から都心まで、ほぼ4時間。

「今日暑かったので、寝ると思います(笑い)」

疲れたから、ではなく、暑かったから。この日ラスト、127球目で最速154キロを出した。余力を感じさせながら、のぞみ号に乗り込んだ。【金子真仁】

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