日本ハムのアリエル・マルティネス捕手(27)がオリックス戦(ほっともっと神戸)で、自身初のグランドスラムとなる12号満塁本塁打を放った。6点差を付けられ、敗戦ムードが漂う9回無死満塁、オリックス本田から左中間スタンドまで運んだ。最終回に2点差まで迫るも敗れ、84年以来、39年ぶりの12連敗に沈んだ。それでも一矢報いる満塁弾を連敗脱出のきっかけにする。

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マルティネスが意地の1発を、日が落ちかけていた神戸の空に打ち込んだ。9回無死満塁。直球を振り抜き、ライナー勢の打球を左中間席まで運んだ。4回1死一塁で中飛に倒れており「ランナーをかえしたい気持ちで挑んだけど、フライで終わってしまった。その気持ちが強く残っていたので、今度こそはという思いで最終打席に挑んだ」。4回の打席を含む3打席で凡退した鬱憤(うっぷん)を最後の打席で爆発させた。

チームは12連敗を喫したが、初回に清宮のソロ本塁打で先制し、6点を追う最終回には2点差まで迫って見せた。連敗中では最多の5得点。「たとえ点差が開いていても、チームでたくさん得点を挙げたかった。その気持ちが強く出て、あのホームランが生まれました」。敗戦ムードが色濃く出た局面で放った執念の一打だった。

目が覚めるような満塁弾を放ったが、チームは連敗から抜け出せず、借金は今季最多の17まで膨れ上がった。そんな苦しい中でも、気持ちを切り替えて厳しい戦況を打破する。「毎日毎日、新しい1日が始まる。もちろん負けてしまったことは事実だけど、それは過去」と、自らとチームを鼓舞する。後半戦は1カードが終わったに過ぎない。「今シーズンはたくさん残っている。そこで勝ちをどんどん、どんどん積み上げていくこともできる」。頼れる助っ人は、ひたむきに前を向いている。【石井翔太】

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