北広島育ちの道産子が、北広島の新球場で初白星をつかんだ。日本ハム福田俊投手(26)が同点の延長11回から登板。3者凡退に抑えてサヨナラ勝ちをお膳立てし、プロ5年目で初勝利を挙げた。今季開業したエスコンフィールド最寄りの星槎道都大で4年間過ごし、プロへの道を切り開いた札幌出身の左腕が“第2の故郷”で、チームに大きな勝利をもたらした。

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思いもよらない1勝だった。プロ入り後初のお立ち台に上がった福田俊は、言葉を詰まらせた。「いや~、本当に素直にうれしいです。え~、あまりヒーローになるタイミングあまりないですけど…応援…ありがとうございます」。感極まったかと思いきや、違った。「何言えばいいのかなと。普通に言葉が出なかったです。何言ったらいいんだろうって。どうしようって」。初々しい受け答えに、スタンドから拍手が湧いた。

マウンドでは動揺することなく、自身の役割をまっとうした。4-4の同点で迎えた延長11回、先頭の中村晃、続く牧原をいずれも内角へのストレートで左飛に打ち取ると、最後は川瀬を外のスライダーで空振り三振に切って取った。「左3人。求められているのは、そこをちゃんと抑えること。それができたので良かった」。欲張らない。できることを全力でマウンドで表現し、1点を争う競り合いを、勝利に結び付けた。

今季はここまで15試合に登板し、5安打11奪三振無失点の防御率0・00と高い安定感を誇っている。加藤投手コーチは「昔から真っすぐのキレはいいものがあったが、先頭打者に2ボールになると崩れるようなところもあった。今はそこで持ち直せる。成長した部分」。4年目の昨季、13試合で自責1と手応えをつかんだこともあり「ちっちゃいことで一喜一憂しないようにしている」と、5年目の自信につながっている。

試合前には、同じ道産子のスター松山千春が「大空と大地の中で」を熱唱し、始球式に臨んだ。「登板準備していてしっかり聞けなかったのが残念。でもそういう試合で勝てたのは本当にうれしい」。大学最寄りに出来た新球場のブルペンは外野席前にあり、「試合の雰囲気を感じながら準備できて試合に入りやすい」。大好きな“マイホーム”で好救援を続け、チームを上向かせていく。【永野高輔】