阪神が劇的なサヨナラ勝ちで今季最長タイの9連勝だ。3-3の延長12回無死満塁。佐藤輝明内野手(24)が中犠飛を打ち上げ、今季両リーグ最長5時間16分の大激闘に終止符を打った。夏の長期ロード9連勝は球団新記録で貯金は今季最多の23。敗れた2位広島との差も今季最大の7に広げ、いよいよ独走態勢だ。

阪神岡田彰布監督(65)が粘りの継投で延長12回サヨナラ勝ちにつなげた。今季最長の5時間16分の死闘を終え「長かったなと…もうね、序盤は、あんま覚えてないですね。ポイントはどこか分からないですね。いやいや(12回表終えて)もう負けはないんでね。別に引き分けでもいいし」と苦笑いした。

先発青柳が5回94球で3失点とピリッとせず1点リードされた6回から継投策に入った。「今日は桐敷も2回だし、及川もあそこよくね」とイニングまたぎをした2人をほめた。

桐敷がまず6回を無失点に。その裏、同点に追いつきなおも1死一、三塁のチャンスで木浪が二ゴロ併殺。9番桐敷まで打順が回らず、7回もイニングまたぎすることができた。指揮官は試合後「(木浪の)ゲッツーで桐敷が2イニングいけたからな。あのゲッツーが一番大きかったな。ひとり足らんとこや、ピッチャー。その時点では12回いくとは思ってないけどな」と余裕たっぷりに桐敷続投の場面を振り返った。

前日休養でベンチ外だった加治屋が9回に「0」を刻み、10回は守護神岩崎が1死満塁も後続を連続三振。11回から及川が回またぎし12回2死から村上に3ボール1ストライクとカウントが悪くなったところで申告敬遠。馬場が右の塩見を遊ゴロに仕留めヤクルトの勝ちをなくした。

岡田監督にとって日本一になった85年の8月12日は、忘れられない1日だ。日本航空123便墜落事故の520人の犠牲者の中に、当時の球団社長中埜肇氏も含まれていた。ジャンボ機は群馬県の御巣鷹の尾根に墜落した。動揺したチームは翌13日から6連敗。この年、岡田監督は選手会長を務めていた。広島で選手だけのミーティングを行い、そこから再び息を吹き返しリーグ優勝、日本一へと突っ走った。あれから38年、岡田阪神が首位を独走している。【石橋隆雄】