中日根尾昂投手(23)が2軍戦7度目の先発に臨み、6回7安打2失点で5敗目を喫した。視察した日刊スポーツ評論家の権藤博氏(84)は「先発であるなら1軍昇格はまだ早い」と現状分析した。

1回、先頭遠藤に初球148キロを中前打されたが、一塁へのけん制で刺し、ピンチ拡大を防いだ。4回1死満塁から井坪の三ゴロ併殺崩れの間に1点を失い、6回には先頭井上に146キロストレートを左翼席に運ばれた。

権藤氏 一生懸命、投げてるんですよ。一生懸命すぎるとも言えます。1年前と比べれば、投げ方は格段によくなっています。ただ、投球にいい意味での「遊び」がない。150キロのストレートを投げても、打者に合わされたり、ボール気味の球は簡単に見切られてしまう。この状態で昇格しても、1軍だと早いイニングでつかまる可能性は高いでしょう。

最速151キロの直球とフォーク、スライダーに5回からはチャレンジ中のカーブも織り交ぜての力投を見せたが、4四球を出すなど球数は6回で自己最多127球を費やした。

権藤氏 せっかくのストレートが効果的に使えないため、変化球の割合が多くなり、球数も増えてしまいます。2軍戦ならストレート中心の配球である程度抑えきる必要があります。とはいえ実質1年目の投手です。とにかく今は経験を重ねることが大事。個々のボール自体は素晴らしく、けん制やフィールディングのセンスも抜群です。先発で長いイニングを任せるのであれば、ストレートで打者との間合いを外すコツを身につけることや、クイックの精度を上げるなどを克服することが昇格条件となります。ですが、先発にこだわらず、改めてリリーフからのスタートも視野に入れるべきだと考えます。

先発転向2年目で着実に成長中ながら、打線の援護にも恵まれず、いまだ未勝利。投手育成の名伯楽は素材の高さを再認識した上で起用法の選択肢を広げ、じっくり育成することの重要性を指摘した。

根尾の話「狙って打たせたりとか場面的にはあったが、満塁から先制点を取られた後の四球だったり、無駄球が多かった。長いイニングを投げ続けるためには無駄球を減らしていかないといけない」