諦めないん弾。広島末包昇大外野手(27)が2点を追う8回2死一、二塁で、自身2戦連発となる代打逆転3ランを放った。

巨人高梨の内角スライダーをすくい上げて京セラドーム大阪の左翼席上段に運んだ。チームを3連勝に導き、16日に消滅した自力優勝の可能性も復活した。

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初球、空を切ったスライダーを今度は捉えた。2点を追う8回2死一、二塁。代打末包は左腕高梨の4球目、内角スライダーをすくい上げた。左翼ポール際に高々と舞い上がった飛球は、ファウルゾーンではなく、赤く染まった左翼席上段に吸い込まれた。

「絶対、どこかでもう1球(内角が)来るなと思ったので、来た時にしっかり振れるようにと」

16日にともった阪神のマジックを消し、自力優勝の可能性が復活した。土俵際に追い詰められながら踏みとどまるチームのように、末包も土俵際から浮上した。18日まで16打席無安打と、2軍降格の危機を感じていた19日巨人戦で3号ソロを含む2長打を記録した。そこから9試合で4本塁打と量産態勢。「自分の生きる道。チームのためになるのが長打」。スタメンから外れるも、自身2戦連発に胸を張る。

8回1死一塁で、対左投手にも打率2割6分4厘と苦にしない坂倉にも代打を送るなど、攻撃的な采配のベンチに応えた。指揮官は「“末包さん”は素晴らしいホームランだった。(ファウルゾーンに)切れずにあそこがホームランになるのは彼の技術的にも成長してきている」と賛辞を惜しまなかった。

9回は13戦連続無失点中の栗林を休ませ、1軍に復帰したばかりの矢崎を中10日で送り出した。ピンチを招きながら試合を締め、安定感ある中継ぎ陣にまた1枚加わった。大胆な起用で勝利をたぐり寄せた新井監督は「全員で戦って、全員で勝ちをもぎ取るのがカーブの野球。(阪神の結果は)自分たちでコントロールできない。自分たちができるのは1戦1戦戦って、勝ちをもぎ取ることだけ」と、劇勝にも、真っすぐ前だけを見つめた。【前原淳】

○…デビッドソンがまた巨人戦で1発を見舞った。6回に先発山崎伊の145キロをとらえ、18号ソロを左翼席に運んだ。巨人戦は9本目となり、山崎伊からは3本目。「8月過ぎてからの対戦も多いし、そういうところで彼の球を見ている。自分のスイングも良くなっているというのも重なっていると思います」。8月だけで9本塁打と、大事なシーズン終盤に助っ人が調子を上げている。

▽広島島内(リーグトップタイ34ホールド)「マウンドに上がったら試合に集中できているので、あまり変なことは考えないようにしている。本当に1つずつと、自分に言い聞かせています」

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