オリックス山本由伸投手(25)が“瞬間4冠”に立つ力投で、両リーグトップ13勝目を挙げた。

「おらー!」

気持ちのこもったボールを投げるたび、開いた屋根からのぞく北の空に雄たけびが響き渡った。「たぶんマイクが良かったんじゃないですか。いつも声は出てます。自然です」。いつも通りを強調したが、気迫を感じさせる108球だった。

4回2死二、三塁のピンチは、昨季までの同僚伏見をフォークで空振り三振。5回は無死一、二塁から清宮、万波の中軸を連続三振。何度も力強い声が響いた。「先制点を取ってもらったので、しっかりその1点を守れるように」。3四球を与えるなど本調子ではない中、7回4安打無失点はエースの貫禄。連敗を2で止め、優勝マジックを3日ぶりに「18」に減らした。

13勝目で勝率第1位の権利も手に入れ、防御率1・34、勝率7割2分2厘と合わせて堂々の投手3冠。さらに奪三振は9つを積み上げ137とした。ナイターで先発したロッテ種市に再逆転を許したが、瞬間的に投手4部門でリーグトップに立った。昨年までの2年連続の投手4冠はすでに史上初で、3年連続も射程圏に入っている。

この日投げ合ったのは、ともにWBCを戦った日本ハム伊藤。多彩な変化球を操る器用さに一目置く存在だ。「相手投手がいい投手だとすごく自分も気合が入ります。実力よりもいいボールを投げられたり、すごく充実した1試合になったと思います」。リーグの中心にいても、まだまだ上を目指し続ける。【磯綾乃】

 

▽オリックス平野佳(最終回を抑え日米通算250セーブまであと5)「みんな粘ってくるいい打者が多いので抑えるのに必死です。由伸(山本)がナイスピッチングで粘っていたし、颯一郎(山崎)もすごいよかったから勝てて良かった」